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2022.02.27

[Alexandros]川上洋平 interview 最新曲『Rock The World / 日々、織々』に込めた想いとロックバンドの今を語る

両A面シングル『Rock The World / 日々、織々』をリリースした[Alexandros]。両曲共にタイアップ先に書き下ろした楽曲であると同時に、10周年を超えてもなお精力的に活動を続けている現在の4人のモードを強く打ち出した作品に仕上がっている。本作についてはもちろん、発売中のGLITTER vol.3のテーマ“セクシュアル”と“リレーションシップ”について、ボーカル&ギターの川上洋平に話を訊いた。

僕達はあくまでもロックバンドなので、自分達のやりたいことをやるというのが一番の役目

──『Rock The World』は、映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』の主題歌として書き下ろされた楽曲ですが、どういった楽曲を作ろうと考えていましたか?

「監督の話や完成前の映画を観た印象から、最初は少し壮大な雰囲気の曲を作っていたんです。ただ、それはそのまますぎたというか……映画に合いすぎてしまって、面白みのないものになってしまったんですよね。それで80%ぐらいできていたものをボツにして、同時期に作っていた別の曲を最初はこれはちょっと違うかもしれないなと思っていたけど、もしかしたら合うんじゃないかという話にメンバー内でなり、採用したのが今回の『Rock The World』です」

──どんなところが映画に合うと?

「キャラクターに合うと思ったんです。映画の雰囲気とは少し違うかもしれないけど、主人公3人の心の動きや、実際の身体の動きには、すごくぴったりなんじゃないかって。それで、監督に何を言われるか分からなかったけど(笑)、急遽、方向性を変えて作っていきました。最初に作ったときはそこまで意識していなかったけど、だからこそ嘘がないというか、映画を観た後の実直な感想みたいな曲になったと思います。そこは自分としてすごく誠意があると思ったし、狙おうとしてもできないものなのでよかったです」

──映画に合いすぎてしまったからボツにしたというのが面白いですね。

「タイアップって、少しずれているほうが面白いと思うんです。クライアントさんからするとヒヤヒヤするかもしれないけど、そのほうが立体的に見えるというか。たとえば、キューブがあったとして、みんなが見えている一面とは少し違うところに光が当たることによって、いろいろなものが見えてくる。悲しさを帯びた映画も、最後の最後までずっと悲しいだけだとすごく平坦な気持ちになってしまう。でも、そうではなくて、そこには他にもいろいろな感情があると思うから、そこを表現するのが僕はすごく大事だと思っていて。どんなものでも、ちょっとずらすことが大事ですね」

──「Rock The World」というタイトルはどんなところから出てきたんですか?

「これは、アマチュア時代にあった曲のタイトルです。だから、もう20年前ぐらい前になるのかな。実はボーカルじゃなかった時代があって、初めてボーカルになったときのライヴで、このタイトルの曲をやっていました。もちろん今回の曲とは全然違いますけど」

──それがふと出てきたと。

「曲を作るときに、サビの最後で“Let’s rock the world”と歌っていたので、ここはもうそれしかないなって(笑)。僕は、“作る”という作業よりも、“出す”という作業のほうが大事だと思っていて。そういったものが自分の中から自然と出てきたときは、なるべく変えないようにしています。そこにこっ恥ずかしくなるようなところがあったとしても、それが一番素直だし、感情的な部分だけじゃなく、語感的にもたぶん気持ちいいと思うので。そこはなるべく裏切らないようにしてますね」

──『Rock The World』は、映画の書き下ろし曲ではありつつも、バンドの現在のモードも強く出ているんじゃないかなと思うんですが。

「そこは常にそうですね。僕達はあくまでもロックバンドなので、自分達のやりたいことをやるというのが一番の役目というか、大事なところだと思うので。そういった僕達に依頼していただいたということは、誠意を見せるという意味でも、僕達が好き勝手にやることが基本的には大事なんだろうなと思っています」

──今、どんな音を鳴らそうと考えていたんですか?

「音数が多いようで少ないような場面が続いていく曲というのが、最近の自分のテーマとしてあるんです。聴いている人が浸れるための余白を作るには、音数があまり多すぎないほうがよかったりするけど、必要だなと思う瞬間には欲しかったりするので。だから、印象的には騒がしさもあるけど、わりとスッキリしたような感じにするところにこだわっていました」

──音数をなるべく少なくするのが近年の音楽のトレンドとしてあるけれど、それとはまた違うものもやりたいという。

「やっぱり僕は新しいところに行きたいんですよね。トレンドにも好きな曲はあるので、そこは無視せずに吸収しつつ、自分達のやりたいものとどう掛け合わせて新しいものにしていくかというのが大切なので。ライヴではガー!っとやって、うるさくていいやと思うけど、ドライブしたり、家でリラックスしながら聴くときに、そんなにガチャガチャしたくないっていうのは、俺も思いますから。じゃあ音源をどうするかとなったときに、やっぱりライヴとの差はあけたくないという戦いがあって……そこはロックバンドがみんな悩んでいるところじゃないですかね。というのも、基本的にロックバンドはうるさくてなんぼですから。そこをうるさくせずに、でも騒がしく、激しく聴かせることができるのかというのは、今の時代のロックバンドの課題になっているのかなと思います」

──もう1曲の『日々、織々』は、パナソニックと花王がタッグを組んだ「#センタク」プロジェクトのテーマソングとして書き下ろされていて。“洗濯の曲”となると、どうしても爽やかな印象が出てきますけど、それをメロウなサウンドで提示されたのが面白いなと思いました。

「“洗濯をしながら口ずさめるような曲があったら嬉しいです”という、わりとふわっとしたオーダーだったんですけど、自分の中で一番やりたかったものがこれだったんですよね。ドリームポップとかをよく聴いていた時期だったから、なんとなくこのビート感だなって。最初はもうちょっとエレクトロな感じだったんですけど、バンドで合わせたときに、もうちょっと後ろノリにして、ちょっと緩めなヒップホップっぽい雰囲気にしてみようって。この曲は一瞬でできました」

──[Alexandros]は、これまでもロックという言葉やイメージに囚われずに様々な楽曲を発表していますが、この曲もその流れにあるものになっていて。

「“ロックというジャンルって何?”と言われて、答えられる人っていないと思うんです。そこは人それぞれだと思うけど、でもまぁ、ほとんどの人が“激しい曲”をロックって言うのかな。その点で言うと、『Rock The World』も『日々、織々』も、ロックじゃないと言う人もいるかもしれない。でも、僕の中では、それっぽいことをやっていてもロックを感じない人はいくらでもいるし、ポップな感じだったり、バラードなのに、めっちゃロックだなと思うこともあるんですよ。爽やかなサウンドだけど、なんかずっしり来るなとか、その人の色でしかないなと。僕の中のロックは、自分で歌詞を書いて、曲を書いて、アレンジも全部自分で決めて、最終的にはやりたい放題やっていることだと思うので。そういう意味では『Rock The World』も『日々、織々』も、今までの曲も、全部そういう気持ちで書いているので、僕としては全部ロックではありますね」

ロックバンドが一番セクシー。彼らは嘘がない。作るためには絶対に自分の中にあるものを出さなきゃいけないし、“出す”ことはセクシーだと思うから(笑)

──“セクシュアルとリレーションシップ”という本誌のテーマの“セクシュアル”に絡めてお聞きしたいんですが、おっしゃっていた通り、ロックと言っても形は様々ですよね。そういった中で、ロックって昔はセクシーなものも多かったと思うんですが、最近減ってきている印象も個人的にあって。

「僕は今でもロックはセクシーだなと思いますよ。2010年代のヒーローでいうとThe 1975のマット(マシュー・ヒーリー)はセクシーですし、ちょっと前だとThe Strokesのジュリアン・カサブランカスとか、Arctic Monkeysのアレックス・ターナーとか。最近だとEasy Lifeのボーカル(マレー・マトレーヴァーズ)は、新たな意味でセクシー。さっきからイギリスのバンドばかりだけど(笑)、ロックバンドが一番セクシーですよ、やっぱり。なぜかというと、彼らは嘘がないから。歌詞も曲もそうだけど、作るためには絶対に自分の中にあるものを出さなきゃいけないので。“出す”ことってセクシーじゃないですか(笑)」

──確かにそうですね(笑)。

「着飾るのもいいんだけど、やっぱり内なるものを“出す”ことが一番セクシーだし、色気があると思いますね。そこに嘘がなくて、もしかしたら自分でも気づかないぐらいの本当の自分が出ているかもしれない。僕はそういう人に憧れを抱いていたし、そういう人の曲を聴きたいです。どれだけ歌がうまくても、顔がよくても、心が躍るか躍らないかは、その人が本当に心から歌っているのか、血反吐を吐くような思いで作っているのか。そういうものを感じられる人がいいです。そこは男性だけじゃなく、女性も同じ。性別関係なく、僕はそういう人に色気を感じます」

──もうひとつ、バンドの“リレーションシップ”についてお聞きしたいです。バンドメンバーの関係性って独特で、家族、恋人、友達など、いろいろな表現をされることがありますが、川上さんにとってメンバーとは?

「何にでもなり得るんですよね。バンドメンバーだから、商売道具と思わなきゃいけない瞬間もあるし、精神的な支えがほしいなと思ったら、支えてくれる親友でもあるし、プライベートのちょっとした悩みを相談できるのはメンバーだけだと思うから、そういう意味では家族でもある。だから、“いろいろと使い勝手がいい人達”ですね(笑)。冷たい言い方ではあるけど、実際にそうだし、そうなってきているので」

──そこは信頼しているからこその表現でもありますし、そういう存在の人ってなかなかいないですよね。

「いないし、この年齢になったら、新しくそういう人ができる可能性ってほぼないんじゃないかなと思いますしね。バンド仲間で友達ができても、やっぱり俺はどこかでライバルだと思っているし。そこは年齢関係なく、絶対に俺のほうがかっこいい、みたいな(笑)」

──最後に『GLITTER』という媒体名に掛けての質問をさせていただきます。10周年を超えた今もなお精力的に活動を続けられていますが、“活動をしていく=輝き続ける“ための原動力は何ですか?

「原動力は、やっぱり欲望だと思いますね。こうなりたい、こうありたいというものと自分を比較して、ここが足りない、と。じゃあそこまで行こうと思うことが、やっぱりバネになるなと思います」

──ここまで活動してきて、まだ叶えられていない欲望もあります?

「ほとんど叶えてないですよ(笑)。バイトを辞められたことぐらいじゃないですかね。もう10年以上前になるのかな」

──音楽で生活していきたいという欲望が。

「そこが最初のステップですから。それはミュージシャンだけじゃなくて、役者さんとか、他もそうだと思いますよ。僕としては、自分が思い描いているものをいかに具現化できるのかというのは、常日頃考えてます。考えて、言語化して、それをメンバーやスタッフ、ファンに伝えることで、それがだんだん形になってくるし、ここまでそうやってきたので。だから、それが原動力というか、方法みたいなものかもしれないですね」

コート ¥63,000、シャツ ¥23,000、パンツ ¥21,000〈すべてATTACHMENT 〉

■PROFILE■

川上洋平

4人組ロックバンド・[Alexandros]のボーカル&ギター。ほぼ全曲の作詞・作曲を手掛ける。TVドラマやCM、映画など多岐に亘り楽曲提供を行い幅広い層に支持されている。

■INFORMATION■

[Alexandros]

『Rock The World / 日々、織々』(発売中)

〈収録曲〉

01.Rock The World (映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』主題歌)

02.日々、織々 (「#センタク」プロジェクト テーマソング)

03.日々、織々 feat. Vansire

 

通常盤 ¥1,320(税込) 

初回限定DVD付盤 ¥6,600(税込)

初回限定Blu-ray付盤 ¥7,700(税込)

[初回限定盤]

ALEATORIC ARENA 4 DAYS 2021.10.27 NIPPON BUDOKAN20211027日、日本武道館公演のLIVE映像を全編収録(全23曲)

◆ライブ本編、オフショットを含むオリジナルフォトブック(24ページ)

◆[Alexandros]映像作品では恒例のメンバーによる副音声が収録

「THIS SUMMER FESTIVAL 2022」

4月28日(木)東京国際フォーラム ホールA〈OPEN 17:30 / START 18:30〉

対バンはsumikaに決定!

 

 

Photos Ken Ogawa / Styling Keitaro Nagasaka@Sakas PR / Hair&Make-up Maki Sakate@vicca / Words Tetsuo Yamaguchi / Edit Kaori Watabe

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