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2022.02.06

【SEX IN THE CITY PART2】 東京のSEX事情〜女性用風俗店オーナーセラピスト対談〜〈続編〉

性の最新情報にフォーカスした発売中の『GLITTER vol.3』では、近年、その存在が注目される「女性用風俗(略して“女風”)」をご紹介。全国に200店舗以上あるといわれる女風店のなかから、心と体の両面で快感に向き合う人気店「SPA White(スパホワイト)」と「Un moment pour toi(アン モモン プートア)」のオーナー兼セラピストのおふたりにお話を伺いました。熱量たっぷりに語られた女風への想いは、誌面では収まりきれないボリュームに。女性を快感に導く方法論から新人セラピストの採用基準まで、女性用風俗の世界をひも解く対談の続編をお届けします。

人気女風店、誕生のきっかけは「女性の役に立ちたい」という想いから

ーー本誌誌面では、主に女風を利用されているお客さまについてお伺いしましたが、ここからは少しお店の方針にも焦点を当てていきたいと思います。まずは、お店を立ち上げた経緯とコンセプトを教えていただけますか?

あす香「高校生の頃から、女性の性の悩みを聞ける大人になりたいと考えていました。卒業後は、エステティシャンとして美容業界に就職。性への興味が強かったため、性感エステでも働き始めましたが、本業を買われて風俗店のマッサージ講師を頼まれるように。その後、女風に興味を持ったのは、自分が救われた経験があったから。結婚・出産を経て、ワンオペ育児でボロボロになっていたとき、偶然、女風の先駆け的なサービスに出会って。久々に女性として扱われて深く癒された気がして、心地よいあたたかさを感じながら、自分なら性感マッサージを教えられるし、何よりこれは女性の悩みに寄り添える仕事かもしれないとひらめいたんです。その後、1年と経たずにスパホワイトをオープンしていました」

ーー女風の性感マッサージといえば、腟への指入れやクンニリングスが定番ななか、スパホワイトは「粘膜同士の接触なし、Iラインタッチなし」という独自のコンセプトを打ち出しています。それはなぜですか?

あす香「性感エステで働いていた経験から、人は粘膜同士の接触がなくても快感を得られると知っていたからです。粘膜に粘液が触れなければ性病のリスクがありませんし、安全に楽しめるならそれがいちばん。その上、今では当初の思惑以上にさまざまなメリットを感じています。たとえば、“性体験にトラウマやブランクのある方、また他人との性接触にこれからチャレンジされる方にも一歩踏み出しやすい環境を提供できること”、“性欲を満たすだけでなく、優しい男性と触れ合いたいと思っている方に気兼ねなく楽しんで頂けること”など、このコンセプトだからこそ選んでくださるお客さまも多勢いらっしゃるのです」

ーー性的な関わりが得意でなくても、満たされる場所があるのは貴重ですね。一方、山上さんは、もともと大手女風店の人気セラピストだったそうですが、なぜご自身でお店を作ろうと思われたのですか?

山上「前店に在籍中、お店がセラピストのために行う講習にもの足りなさを感じていました。あれではセラピストとしての技術を磨くのは難しいと思い、ならば自分が、性感はもちろん、お客さまとの会話やコミュニケーションの仕方も含めた技術特化型のプロ集団を作ってみたい、と。当店は、“幸せホルモン”と呼ばれるオキシトシンの分泌促進をコンセプトにしています。オキシトシンは、触れ合う、見つめ合う、ハグするなどの行為でも分泌され、ストレス軽減や免疫力アップなど多くの効果をもたらしますが、放っておくと日々のストレスで減少してしまうそう。世のなかにオキシトシン不足の女性は多いと感じますので、ウチではセックストイは使用せず、心地いい会話や肌の触れ合いを通じて、オキシトシンを増やすことをめざしています」

女性を快感に誘うアプローチは、内面の“環境づくり”から

ーー業界ではオイルマッサージが主流のなか、アンモモではパウダー性感を取り入れていますね?

山上「はい。私の考えでは、パウダー性感のほうが感度を上げるのに適しているためです。もちろん、オイルマッサージの効果も理解していますが、当店ではパウダーに特化しています」

ーースパホワイトではオイルマッサージを行われていると思いますが、あす香さんは、「パウダーのほうが感度を上げやすい」という点についてどう思われますか?

あす香「そうですね…。実は私も、性感エステではパウダーを使用していました。Iラインタッチなしでも快感が湧き上がるというのも、まさにパウダー性感の話。ただ、パウダー性感は難易度が高いんです。とりわけ、女性は感度の上昇にはあらゆる条件が必要なため、余計に難しい。ですから当店では、“オイルマッサージの施術でリラックスを感じていただいた後にパウダーのタッチを織り混ぜる”という方法をとっています。パウダーのタッチとは、要は“フェザータッチ”なのですが、セラピストたちには、フェザータッチを完璧にマスターできたらパウダーを使ってもいいよと伝えています」

山上「そうなんですか! でも確かに、パウダー性感は非常に難しいですね」

あす香「難しいと思います。施術中もお客さまの状態をお客さまと同じ目線で感じ取り、気遣えるセラピストでないと、くすぐったくて不快なだけになってしまいますから」

山上「私は、パウダーの難しさは、施術以前にお客さまの内面を整える必要があるところだと思っていて、ウチではそれを、快感を得るための“環境づくり”と呼んでいます。まずは、リラックスした心地いい会話で“心の愛撫”を行い、『この人に触れられてみたい』というお客さまの能動的な姿勢を引き出すことが先決。さらに、普段、頭のなかにある雑念を取り払っていただきたいので、深呼吸を促したり、こちらの手の感触を追いかけてもらうようにお伝えしたり。心を解放し、“今”の感覚に集中していただくことで、自分から快感を掴みに行くための準備を整えるのです。つまりこれは、パウダー性感に止まらず、すべての快感のためのウォーミングアップでもあるんですね」

ーーオイルやパウダーで快感を高め、最終的にはオーガズムを引き起こすのが性感マッサージのひとつの目的だと思いますが、実際はイケない女性も多いですよね。オーガズムを得てもらうためのアプローチ方法はあるのでしょうか?

山上「そうですね、まず前提として、中イキができる女性は全体の約3割といわれています。そしてここからは経験則ですが、イケない方は、体質以上に内面に関係があるのかもしれません。というのも、最初はイケなかった方が、しばらく通ってくださった結果オーガズムを得られるようになると、価値観やものの考え方まで変化しているケースが少なくないのです。実際にお客さまからは「すぐに否定する癖がなくなった」「多様な考え方を受け入れられるようになった」などの声をいただいています。中イキは1度の挑戦でできることもありますが、難しい場合には、「また利用したい」と思える楽しさを感じてもらうことも重視しつつ、徐々に気持ちよさの成功体験を積み重ねていくことを大切にしています。そもそも女性は、外イキができる場合でも、オーガズムを迎えるコツまで掴めている方は少数派。だからセラピストは、腟に触れながら気持ちいいポイントやリズムなどを色々と試し、その間、お客さまには呼吸の仕方や足の力の入れ具合を工夫してもらうなどして、一緒に試行錯誤していくことが肝心なのです。女性は自分の体を把握できていないことも多いので、私たちは、インストラクターのような立場で寄り添えるといいのかなと考えていますね」

人間力が不可欠のセラピスト。気になる採用基準や新人研修について

ーーお話を伺っていると、セラピストには人間力も欠かせない気がします。新人を採用する際は、どのような点を重視していますか?

あす香「当店の採用基準は、まず外見。女性は第一印象で落胆すると感情を持ち直すのが難しいと思うので、隣を歩いたときに恥ずかしくない容姿であることは重要です。また、お客さまを姉妹や親友と同じぐらい大切な存在と考えているので、人として尊敬できる方しか採用しません。あとは、必ず家族構成を尋ねるのですが、結果的に、女きょうだいがいる方は強いですね。男三兄弟といわれたら、少し考えてしまうかも」

山上「間違いないですね。ウチも、男三兄弟はまず採用しません。女きょうだいは絶対にいたほうがいいです。実は、私にも姉と妹がいるのですが(笑)」

あす香「そうですか、それは理想的(笑)! 女きょうだいがいると、女性の生態を体験として理解しているんですよね。それから、これも後から見えてきた傾向ですが、シングルマザーのご家庭は多いです」

ーーそれはなぜでしょうか?

あす香「たぶん…ひとつにはお母さんの頑張っている姿を見て育っているので、女性の大変さを理解していること。また、そんな女性に何かしてあげたいという視点が育っているのかなと」

山上「ああ、それはおっしゃる通りですね。私は父親を早くに亡くしていて、母は女手ひとつできょうだい3人を育ててくれました。私にとって、母はこの世で唯一、最も尊敬している人です。」

あす香「…という感じですよね」

山上「いや、本当にそうですね(笑)」

あす香「もうひとつ、子どもの頃に大変な思いをされた経験のある方は、生き抜く力が強い印象があります。やはり、セラピストは何千人もいるなかから見つけていただかないといけませんから、多少は自我の強さがないと埋もれてしまう。また、困難を乗り越えた経験がある方のほうが、人の話を聴ける幅も広い気がします。結局、人と向き合う職業ですから、生きてきた環境が響くのでしょうね。そのほかには、人のことを決めつけず、人に好奇心を持てる方。そのあたりでしょうか」

山上「私は、長く続けてもらうことで力のあるセラピストを育てていきたいと考えているので、学生時代の部活など長く継続していたものがあるかどうかも判断材料にしています。また、カラオケボックスで面接をすることがあるのですが、時間が余ったときは歌ってもらうんです。そこでは、たとえば私に好きな曲を聞いてくれるなど一緒にいる人に配慮できることが重要。歌は上手くなくても構いませんが、気持ちよく歌えて自分なりの世界観を作れるか、さらにそこに相手を引き込めるかという点を見ていますね」

ーー採用が決まった後、新人研修ではどのようなことを指導されるのですか?

あす香「マッサージ技術はもちろんですが、人として大切にされる空間を重視しているので、マインドの話をすることが多いです。たとえば、『肌の一瞬一瞬を抱きしめるようにマッサージして』と伝えるだけで、タッチはだいぶ変わります。するとお客さまも『世のなかには素敵な体験があるんだな』と感じ取ってくださる。それが快感につながるか癒しにつながるかは、お客さまの状況にもよると思いますが、そういう、体を媒介とした心のやり取りこそが“性”なのかな、と」

山上「当店は研修には特に力を入れていて、デビュー後も、毎月異なるテーマで4〜6時間程度行っています。性感の手技も大事ですが、それ以上に、心地いい会話に必要なことや心の深いところにあるニーズの掴み方など、お客さまとの向き合い方について多くの時間を割いています。性感技術については、手や舌の具体的な動かし方よりも、基礎知識を徹底的に解説します。一般的にダメな手マンの例として“ガシマン”が挙げられますが、そもそも、神経がどこをどう走っているか知っていれば、あんな動きにはならないはず。『痛くなるのはなぜか』『どうすれば痛くならないか』を理解することが肝心なのです」

あす香「具体的なテクニックだけを教えても、女性の気持ちを無視した型にはまった動きしかできませんからね。“山上スタイル”は山上さんがするからいいのであって、そこを真似しても上達にはつながらないんですよね」

ーーということは、性感マッサージで重要なのはテクニックではない?

あす香「大事なのは、想像力と現場判断!」

山上「私も『手より舌より、頭を動かせ』とずっといい続けていますね」

女性用風俗のその先にある、“性”がもたらす豊かさをめざす

ーー最後に、女風の将来についてお伺いします。今後の夢や展望はありますか?

山上「ひとつは、これは野望ですが、いつか女風が保険適用にならないかと本気で願っています。女性が女性としての喜びを味わうことで生き生きと暮らせるなら、社会にとっても大きなメリットですよね。性交痛の改善も、ほかではなかなか叶わないことだと思いますし。そしてもうひとつには、当店のセラピストたちを、彼らの周囲を幸せにできる人間に育てていくことです。心の愛撫を普段から当たり前にできるようになり、会う人みんなを楽しませることができる、世のなかにそんな人間が増えたら素晴らしいですよね。女風以外に性のことを総合的に学べる場所はないと思うので、そのための場所になりたいとまではいいませんが、性にまつわることに成熟した人間を輩出していきたいですね」

あす香「この仕事に数年携わってきて、女風は、それぞれのお客さまがさまざまなストーリーを経て、出会い、卒業していく方もいれば、ライフスタイルの一部に溶け込む方もいるのだと感じています。今は堂々と世間さまに伝えられるサービスではありませんが、利用したいと思ったときに、安心安全に使っていただける我々でありたい。また、今の世の中には、女性が主体的に性に触れることができる“女性目線の性の情報”が少なすぎます。今後は、業界を超えて、性を安心安全に楽しむための知識を普及していけたら。性は、性的接触の意味に限らず、ジェンダーロールや性自認についてなどさまざまな側面があり、生きていく上できり離せないものです。本来、ひとりひとりに寄り添った性はこの上なく幸せなものだと思うんです。だからこそ、どうすれば豊かな性を得られるか一緒に考えていきたいし、日本の性文化を底上げしたい。文化的にあなたに似合う性を楽しめる世のなかをめざしたいですね」

 

「Un moment pour toi」

オーナー兼セラピスト・山上潤 さん

会社員として約10年間勤務。人間力アップと人に喜ばれる仕事がしたいと兼業セラピストとして女性用風俗の世界に。業界最大手店在籍中は全国ランキング1位をキープし、その後、オキシトシンの分泌に着目した技術系少数精鋭型の女風店「アン モモン プートア」をオープン。自身もセラピストとして365日ほぼ休みなく出勤し、連日満了、予約は2カ月待ちの人気を誇る。

 

「SPA White」

オーナー兼セラピスト・あす香 さん

美容専門学校を卒業後、外資系エステサロンに勤務。性感エステ店でも働き始め、本業の経験が買われて風俗講師に。現在も複数店の講師を務める。マッサージはCIDESCOをはじめ5つの国際資格を所持。「女性の悩みを聞きたい」と立ち上げた「スパホワイト」は、粘膜同士の接触とIラインのタッチがない唯一無二のお店。今ではIラインに触れるブラックコース、女性セラピストのマリンコースも。セラピストの目利きに定評がある。

 

Photos Tomoo Syoju@BOIL / Words Wako Shiroishi / Edit CELINA LLC

 

女性用風俗リアルユーザーの体験談は【SEX IN THE CITY PART3】 東京のSEX事情〜女性用風俗ユーザーが求めたもの、得られたもの〜をチェック!

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