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2021.11.21

性別は「グラデーション」。2分の1じゃなくてもいいと思う【中山咲月】

国境も性別も、職業や年齢、住む場所も……。境界線なくボーダレスに生きている人は、例外なく輝いている。『GLITTER』vol.2では、そんなボーダレスな生き方をしている人々に登場いただいています。

俳優/モデル・中山 咲月(なかやま・さつき)

1998年9月17日生まれ、東京都出身。モデル・俳優。13歳でモデルデビュー、雑誌や広告で活躍。俳優として初出演した「中学聖日記」のジェンダーレスな役が話題に。2020年には「仮面ライダー ゼロワン」亡役に抜擢。2021年、日本の結婚観に一石を投じたオンライン演劇『スーパーフラットライフ』に出演し話題に。

 

<衣装クレジット>

コート ¥54,000、パンツ ¥36,000、Tシャツ ¥11,000、ネックレスセット ¥11,000〈すべてヘブン バイ マーク ジェイコブス/マーク ジェイコブス カスタマーセンター〉、シューズ ¥47,300〈マーク ジェイコブス/マーク ジェイコブス カスタマーセンター〉、 ピアス¥11,000〈イオセリアーニ/アッシュ・ペー・フランス(本社)〉、リング ¥23,100〈ジェム キングダム/アッシュ・ペー・フランス(本社)〉

 

2021年はじめに、自身が“トランスジェンダー”であることを告白した俳優・モデルの中山咲月さん。9月17日に発売したフォトエッセイ『無性愛』では、他者に対して恋愛感情や性的欲求を感じないセクシュアリティである「アセクシャル(無性愛)」であることも発表。自分のセクシュアリティに気づいたときにはさまざまな葛藤があったそう。

 

理解されなくてもいい。それでも、「知ってもらう」ための行動はしていきたい

トランスジェンダーであることを発表してからは「理解できない」という批判の声も一部あったそうですが、そもそも、なぜ発表しようと決めたのでしょうか?

 

「お互いを理解するためには、1歩ではなく『1.5歩』、歩み寄ることが大切だと思うんです。人のことを否定したり、自分の価値観を押し付けるのはよくないと思っているので、自分のことを完全に『理解してほしい』とは思ってないんです。でも、トランスジェンダーやアセクシャルのことをまだまだ知らない人も多いはず。どう触れていいのかわからない、と距離を置いてしまう人もいると思うので、『こういう人もいるんだ』ということを知ってもらうためにも、もう1.5歩、知ってもらうための行動が必要だと感じています。 実は少し前まで、自分でもトランスジェンダーだとは思っていなかったんです。今年はじめに生田斗真さん主演の映画『彼らが本気で編むときは、』を見て、登場人物の描写や心情が自分とリンクして、初めてそこで『自分はトランスジェンダーなんじゃないか』と気づきました。思い返せば中学生くらいから違和感を抱いていた気もします。もう誤魔化しがきかない。そう思いました。でも最初は自分自身が受け入れられなくて、『本当は違うんじゃないかな?』『いっときの感情なんじゃないか?』と、1カ月ほどは『生きていたくない』を考えるほどに悶々と悩んで。葛藤の末、ある日勢いでブログを書いたんです。おそるおそるというよりは、本当に思い立って書いた。

 

どんな反応がきてもいいと覚悟していたけれど、ファンの方々はとても温かくて、たくさんの人が『それでも応援します』と言ってくれて。そこから徐々に立ち直ることができました。前までは人と接するのが苦手で、例えば店員さんと目を合わせることすらできなかったんです。一緒にいる友達に横で笑われるくらい挙動不審で(笑)。でも発表してから人と話すことが怖くなくなってきて、この間普通に店員さんと話していたら、その友達にもかなり驚かれました。自分らしく生きられるようになって、堂々と振る舞えるようになってきたのかもしれません」

 

今回の特集テーマ「ボーダレスに生きること」についてはどう思われますか?

 

「ジェンダーというのはハッキリとした境界線があるわけではなく、グラデーションだと思っています。男と女の2種類ではなく、その間で揺れ動いているもので、自分がどのあたりにいるのか、というのは人それぞれ。恋愛観も、恋愛をする・しない、複数の人を好きになるとかも(笑)、いろんな人がいていいのではないでしょうか。それより自分は、性別関係なく内面がカッコいい人間になりたいと思っています。当たり前のことですが、人にやさしく、ありがとうやごめんなさいを言える人でいたい。そして自分に嘘をつかない人生でありたい。ここはブレずにいられる自分でありたいと思っています」

 

本誌では掲載されていない撮影カットも公開しちゃいます!

どのスタイリングもカッコよく着こなしてしまう中山さん。編集部が欲張って誌面では掲出しない衣装でも撮影しちゃいました。WEB限定で公開します!

「普段からクールめのスタイリングが多いので、イメージとしては自分の私服と近いです」(中山さん)

 

 

 

<衣装クレジット>

コート ¥132,000、シャツ ¥39,600、パンツ ¥42,900<すべてウジョー>、スニーカー¥39,600<ユナイテッド ヌード/エム> ブレスレット ¥49,500<デルフィーヌ シャルロット パルモンティエ> リング ¥24,200<ジェム キングダム/アッシュ・ペー・フランス(本社)>

 

自身初のフォトエッセイ『無性愛』も好評発売中!

自らが企画・プロデュースし、バーレスクのトップスター、ならず者、映画『ヴェニスに死す』の美少年タージオのオマージュなど、さまざまなコンセプトで撮影されたフォトページに、自身のジェンダーにまつわる葛藤をつづった文章が添えられている。3,080円(ワニブックス刊)

 

Editor’s Note

by Sonomi Takeo

 

インタビューでは、「今は、とても楽しく生きています」と語っていた中山咲月さん。

自身のトランスジェンダーに気づいた時は、本当に悩んで悩んで、苦しく辛いこともあったそうですが、まずは自分が受け入れることによって心が軽くなっていったのかもしれません。

自分の中での「ボーダー」を超えること。どんな悩みもコンプレックスも、それが何よりも、現状を打破して前へ進む一番の近道ではないでしょうか。

 

Photos Atsushi Kimura  Styling Die-co* Edit & Words Sonomi Takeo

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