渡邊圭祐interview 映画『鋼の錬金術師 完結編』で演じる二役、そして自分自身ーー人生の根幹に触れることでわかる生き様
原作の連載20周年を記念し、前作から約5年越しで続編が制作された『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』。CGを用いた大迫力のバトルアクションと、原作を尊重し、台詞までも再現したストーリーが繰り広げられる完結編二部作で、東の大国・シンの第十二皇子であるリン・ヤオと、彼の身体に入れられた「強欲」の名を持つ人造人間(ホムンクルス)のグリードを一人二役で演じたのが、渡邊圭祐だ。渡邊自身、幼い頃から原作マンガのファンで、なかでも今回演じたリンが推しキャラだったとのこと。今回の完結編について、そして、発売中の『GLITTER vol.4』の大テーマである『Transformers! NEW OLD/NEW ME!! 〜変化変容で新しい自分へ〜』に絡めたインタビューもお楽しみください。
命の重さをちゃんと教えてくれる物語。そういうところが好き。
──もともと原作がお好きで、今回演じているリンが一番の推しキャラだったそうですが、出演のオファーがきたときにどう思われましたか?
「単純に『いいんですか?』って思いました。『もちろんやらせていただきます』と言って、他のキャストの方々を見て、『いいんですか?』って、もう一回言いました(笑)。前作に出ている方は知っていましたが、あまりにも小さい頃から見ている方たちばかりだったので、ここに名前を連ねるのか!って。僕はまだこの業界に入って4年目なんですけど、まだ素人臭いところが抜けていないというか(苦笑)。撮影中は大丈夫なんですけど、それ以外の場面ではそう思ってしまうことがよくあります」
──原作のどんな部分がお好きだったんですか?
「最初は“錬金術”とか“等価交換”とか、聞き慣れない言葉を、小学生ながらにどういう意味だろうと思ったところが入口だったんですけど、普通の少年マンガとは違う感じがあったんですよね。個々のキャラクターにもちゃんとストーリーがあっておもしろいし、ヒューマンドラマをちゃんと描いている気がして。命の重さをちゃんと教えてくれる物語だったので、そういうところが好きでした」
──完結編となる『復讐者スカー』『最後の錬成』のストーリーは原作に沿った形になっていますが、特に好きなエピソードはありますか?
「『最後の錬成』でランファンがフーの死に泣いているシーンは、感動的だなと思いました。撮影のときはとにかく役に必死で、自分の責務を全うする感覚が強かったんですけど、仕上がったものを観て、『おお、ハガレンじゃん!』って。あの世界観に自分がいる喜びもありました」
僕は協調性の塊(笑)。だからこそ、リンとグリードの意思の強さや競争心に憧れる
──リンとグリードを演じてみて楽しかったところ、難しかったところ、それぞれ教えてください。
「純粋にいろんな役をやれることが楽しいと思っているので、ひとつの作品でふたつの役ができる喜びがありました。難しかったのは、僕の役は一貫して(キング・ブラッドレイ役の)舘ひろしさんとやり合うのですが、『復讐者スカー』では、リンとして刀を交える構図だったのが、『最後の錬成』でグリードになってからは、完全に素手になるんです。それも、殴るというよりは貫きに行く感じなので、相手の懐により入らないといけない。そうすると自ずと危険が多くなるので、間合いの測り方が純粋に難しかったです」
──迫力のあるアクションシーンも見所ですよね。
「ブラッドレイと橋から落ちるシーンは大変でした。片手でぶらさがって、もう一方の腕に舘さんがぶらさがるという状況だったので。舘さんは何かに乗っていらっしゃる状態ではあったんですけど、僕の肩が外れるんじゃないかなと思って(笑)。安全第一の現場だったので、怪我はなかったです」
──リンもグリードも意思の強いキャラクターですが、共感できる部分はありますか?
「リンもグリードも、目的のために手段を選ばないところがあるんです。そこは、共感というよりは、大事な感覚だなと思いました。すべてを捨てて……というのが許される時代ではないと思いますが、折り合いをつけながらも、そういう競争心は自分の中に持っていなきゃいけないなって。なので、共感というよりは憧れのような感覚のほうが強いです。このあいだ、人生で初めて手相を見ていただいたんですけど、見てもらった瞬間に『協調性の塊だね』と言われて」
──ご自身でもそういう節があると思いますか?
「そうですね。僕は協調性の塊かも(笑)。人に合わせがちなところはあるし、仲良くなればなるほど、良くも悪くも我を出す瞬間が減ってくるので。そこで我を貫き通す意思みたいなものも、顕著に表していかなきゃなと思ってます」
自分が今やれることを必死にやって全力で楽しんでいれば、絶対に繋がるものがある
──発売中の『GLITTER vol.4』は『Transformers! NEW OLD/NEW ME!! 〜変化変容で新しい自分へ〜』という大テーマがあるのですが、本作はご自身の役者人生の大きな変化であったり、ターニングポイントみたいなものになると思いますか?
「そこはまだわからないです。これだけ偉大な役者の方々とご一緒できたのは、もちろん僕の中で財産になりましたし、ここまでマンガの世界観に振った作品は初めてだったので、そういう作品を撮ったという経験は、間違いなくこれから活きてくるんだろうなとは思います」
──ちなみに、これまでを振り返ってみて、ご自身の中で一番のターニングポイントや、変化になった時期はいつになりますか?
「どこだろう。難しいですね(苦笑)。大学のときに役者をやりたいと思いながら、モデルの仕事をちょっとだけしてみて、たまたま出たファッションショーでたまたま今の事務所を紹介してもらったので、これというポイントがないんです。だから、モデルを始めたことがターニングポイントかと言われるとちょっと難しいところでもあって。でも、なんとなく思っていることは、自分が今やれることを必死にやって、全力で楽しんでいれば、何かしらには繋がるんだなというのを身をもって体験しているかなと。だから、1日1日を無駄にしなかったこととも言えるかもしれないし、すごくプラスなことを言えば、毎日がターニングポイントみたいな感じかなと思います」
──このお仕事を始めてからで考えるといかがでしょうか。
「去年の年末にやった舞台(『彼女を笑う人がいても』)が、僕の中では一番変わった瞬間でした。ここまでの映像作品でいろいろな経験を踏まえてからのあの舞台であり、栗山(民也)さんの演出というのが、僕の中では一番のターニングポイントかなと思います。ワンシーンにあそこまでの時間をかけて作っていくという作業は、舞台でしか味わえないというか。アクションシーンはまた別ですけど、お芝居を何ヶ月という時間をかけてがっつり作るというのは今までない経験だったので、すごく大きかったなと思います」
自分らしく、嘘偽りのないように生きていきたい
──自分が変化していくことに対して抵抗はありますか?
「まったくないですね。なるようにしかならないとも思っているので。だから、楽しければいいと思うし、自分がそれを楽しめていればいいんじゃないかなと思います。楽しめないなと思ったら、それは違う道なんだなと思いますけど、そこが行かなきゃいけない場所なんだとしたら、そこに行く過程を楽しめばいいんじゃない?って。一歩一歩立ち止まってしまうと、時間の無駄な気もしますし、やってみて無駄だったと思ったら、それが無駄だとわかった分だけプラスだと思うので。やる、やらないという決断を悩むというより、悩んでいる時間自体が無駄だと思っているところはあります」
──最後に『GLITTER』という媒体名にかけて、渡邊さんが輝き続けていくために必要だなと思っていることを教えてください。先ほどの楽しむことというのも、それに当てはまると思いますが。
「自分らしくいることじゃないかな。時には適当な嘘をついたり、綺麗事を言わなければいけない場合もあると思います。でも、根本はブレずに自分らしくいることが大事というか」
──偽るようなことはしたくない、と。言ってみればリアリストというか。
「そうですね。ファンタジーな作品はもちろん好きですけど、自分に偽りがないように生きていたいと思っているので。嘘や偽りで固めていってしまうと、自分が自分でなくなる気がするんです。友達に『変わったね』って言われるのが一番嫌なんです。地元の友達に『お前、東京に出て、こういう仕事して変わったな?』って言われるのが、何よりも一番悔しい。さっき、変化をすることに抵抗はないと言いましたけど、そういう変化はイヤじゃないですか。だから、あくまでも役以外の時間は本当の自分でいようと心掛けています」
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■PROFILE■
渡邊圭祐
1993年11月21日生まれ、宮城県出身。俳優、モデルとして活躍。主な出演TVドラマに、「仮面ライダージオウ」(18~19)、「MIU404」(20)、「直ちゃんは小学三年生」(21)、「推しの王子様」(21)、「恋はDeepに」(21)、「やんごとなき一族」(22)など、話題作に出演。映画作品では、『ブレイブ -群青戦記-』(21)など。
■INFORMATION■
©2022 荒川弘/SQUARE ENIX ©2022 映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会
国家錬金術師ばかりを狙った連続殺人事件が起きる中央(セントラル)を訪れたエドとアル。犯人は正体不明ながら、額に十字傷を持つことから”傷の男(スカー)”と呼ばれていた。兄弟も命を狙われ応戦するものの、圧倒的な強さの前に機械鎧(オートメイル)を破壊され、絶体絶命となる。果たして二人はこの危機を乗り越え、元の身体を取り戻すことができるのだろうか。隠されたこの国の秘密と”約束の日”、そしてエドとアルの父親の過去。幾重にも重なる謎と真実が解き明かされ、物語は圧巻のフィナーレへ。最後に兄弟が出した答えとは…?
原作の最終話まで描き切った”完結編”―伝説は二部作で完結する。
『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』全国公開中
『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』6月24日(金)公開
Photos Hirohisa Nakano / Words Tetsuo Yamaguchi / Edit Kaori Watabe