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松坂桃李interview『Transform, en Route〜まだまだトランスフォーム中〜』

年を重ねるにつれ、華麗に違和感なく変容していく松坂桃李さん。今回挑んだ映画『流浪の月』で、自身が目指していた役や、作品への向き合い方へと一歩近づく感触を得られたという。また、人生における転換期は「役者という仕事に出会ったこと」だという松坂さんが、30代になって感じている変化とはーー。

霧の中、何かを手探りし続けているような時間。でもやりきった感触は残った

――ハードルの高い佐伯文という役に、どのように向き合われたのでしょう。

「文はカフェを営んでいるので珈琲を焙煎から淹れる練習をするとか、体重を落とすといった見た目的な準備をするのはもちろんですが、やはり難しいのは内面で……。幼少期の更紗との時間が文にとってどんな時間だったのか、更紗と再会するまでにどんな思いを抱いて日常を過ごしてきたのか、毎日毎日、原作と台本を読んで自問自答しながら文のことを考え続けました。明確なヒントがあるわけではないので、霧の中でずっと何かを手探りし続けているような感じで。その感覚は撮影中もずっと続いていましたね」

——霧の中、糸口になったものは?

「撮影の順番的に、文と更紗の最初の出会いから撮ったんです。10歳の更紗と一緒に過ごした時間が文を形成していく上でとても重要で、演じながら幸せな時間だなと思えて。それを体感できたことが支えになりましたし、あの時間があったからこそ、文と最後まで向き合い、走ることができたんだと思います」

――なるほど。撮影中に、幼少期の更紗と過ごした文の部屋に寝泊まりもされたそうですね

「お風呂が使えず、入浴のときだけ近くのホテルに行って、なんとか過ごしながら(笑)。寝泊まりに関しては、李(相日)さんが『やってみたら?』と言ってくださったんですよ。監督はどれだけ自分が役、作品に向き合えるかというリミッターをはずしてくださる方。ほかにも子役のオーディションに同席させていただいたりもしたのですが、思いつくかぎりのことを“やってみたらいいよ”と許してくださることが、すごくありがたかったです」

――最後、霧は晴れました?

「それがクランクアップして、今に至るまで晴れていないんです(笑)。文に対する向き合いは果たしてこれでよかったのかと、未だ正解かはわからない。ただ、今の自分が思いつくかぎりのことはしたので、出しきったという思いはあります。みなさんが見てくださるスクリーンの中で、文として存在できていたらうれしいですね」

発売中の『GLITTER』vol.4(2022年5月6発売)では、本誌テーマの『Transformers! NEW OLD/NEW ME!! 〜変化変容で新しい自分へ〜』についても深掘りしたインタビューが掲載されています。誌面でしか見られない、スペーシーな世界観が広がる撮り下ろしカットもお見逃しなく!

 

■PROFILE■

松坂桃李

1988年生まれ、神奈川県出身。2009年『侍戦隊シンケンジャー』で俳優デビュー。以降、数々のドラマや映画に出演。2019年『孤狼の血』で⽇本アカデミー賞最優秀助演男優賞、2020年『新聞記者』で⽇本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。『あの頃。』『いのちの停車場』『孤狼の血 LEVEL2』『空白』など。公開待機作には『耳をすませば』(2022年秋公開予定)がある。

 

■INFOMATION■

(c)2022「流浪の月」製作委員会

『流浪の月』

帰れない事情を抱えた少女・更紗(さらさ)と、彼女を家に招き入れた孤独な大学生・文(ふみ)。居場所を見つけた幸せを噛みしめたその夏の終わり、文は「誘拐犯」、更紗は「被害女児」となった。15年後、偶然の再会を遂げたふたり。それぞれの隣には現在の恋人、亮と谷がいたーー。

全国公開中!

 

Photos Masato Moriyama@TRIVAL / Styling TAKAFUMI KAWASAKI / Hair&Make-up Koichi Takahashi@Nestation / Words Akiko Miyaura / Edit Kaori Watabe

 

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