“感情の前戯”で親密さを深める♡パートナーと心から繋がるための2つのアプローチ方法
日本の既婚者の過半数がセックスレスだと言われている。もともと性欲が強い人はちょっとしたきっかけで性的欲求が湧くが、そうでない人は、親密さや愛情を深めなければいけない。そこで必要なのが、非性的な”感情の前戯”。この“感情の前戯”は性欲の有無にかかわらず、カップルの心と体を結びつけ、ひいては性的親密さにもつながる。今回は、アメリカで40年以上もセックスセラピストとして活躍するダイアナ・ウィリー博士が提唱するアプローチを2つ紹介する。スキンシップの仕方が分からない、あるいは、苦手とする人にも勧めている方法だ。
1. アイ・ゲイジング(視線を交わす)
目を見つめ合う「アイ・ゲイジングエクササイズ」は、カップルの親密さを深めるために一番オススメ。実際に、目と目を見つめ合うと幸せホルモンのオキシトシンも分泌される。じっと見つめ合うことを最初は不快に感じてしまうかもしれないが、それはごく自然な感情。「目は心の窓」というように目の表情は多くを物語り、視線を交わすことで相手をよく知り、お互いの関係性について洞察することもできるという。
①相手の目がよく見えるように、できるだけ近く、正面に座る
②目を閉じて深く腹式呼吸をする
③自分自身の体が心とつながっていると感じたら、目を開けて相手の目を見つめる
④視線を柔らかくしたり、普通にしたり、視線を感情や感覚と同調する
⑤パートナーを観察する
⑥5回ゆっくりと深呼吸し、自分の体の”中心”を感じるようにする
⑦アイコンタクトを続けながらできるだけ話さず、パートナーを5分間見続ける
⑧5分続けたら、目を閉じて呼吸を整える
⑨自分の感情や感覚と同調したら目を開けて、「愛してるよ」や「好き」と愛情表現をする
この方法はパートナーが話しているときや食事をしているときに1人で行うことでも効果はあるが、2人で一緒に行ったほうが、より深い繋がりを得られる。沈黙でコミュニケーションをとることは意外に難しく、沈黙を言葉で埋めたくなる瞬間もあると思う。しかし、非言語コミュニケーションはとてもセンシュアルで、心でコネクトする感覚が育める、まさに“感情の前戯”なのだ。見つめられたほうはドキドキするし、愛情の高まりを感じるのでぜひ挑戦してほしい。
2. 7秒キスと15秒ハグ
「7秒キスと15秒ハグ」は簡単にできる“感情の前戯”だ。キスやハグもオキシトシンを分泌するが、ハグのほうがキスよりも分泌に長い時間がかかることから、キスよりもハグの時間が長く設定されている。ウィリー博士の40年以上もの臨床経験によると、セックスはカップルの親密さの一部でしかなく、「セックスをしたい」という性的欲求の根底には、見つめ合う、キスやハグをしたい、という欲望が潜んでいるという。なぜなら、人間はこういった非性的行動から安全や安心感を得るからだ。そうして、この「7秒キスと15秒ハグ」をしている間のおしゃべりは禁止。なでたり触ったりするのもNGで、「ただそばにいる」ことだけを求め合う。それが無条件に愛を受け入れることが実感でき、その瞬間に身を任せることで2人は”一体感”を感じる。1日の始まりである朝も効果的だし、寝る前なら安眠効果も期待できる。パートナーとのルーティンとして日常に取り入れてみてはどうだろうか。
さらに、視線、キスやハグを通して非性的に触れ合うことは、「触られる」ことに違和感や苦手意識をもっている人にとっても、そこから脱却するエクササイズにもなるとウィリー博士は唱えている。これらを使った上手な”感情の前戯”をすることで、幸せホルモンが放出され、癒し効果とともに、2人の間に感情と身体の親密さが生まれる。もし、スキンシップが足りないと思っているなら、ただ触るのではなくて「アイ・ゲイジング」と「7秒キスと15秒ハグ」にトライしてみてほしい。
【参考】
Love in the Time of Corona - Diana Wiley, PhD
此花わか
映画ジャーナリスト、セクシュアリティ・ジャーナリスト、米American College of Sexologists International(ACS)認定セックス・エデュケーター。手がけた取材にライアン・ゴズリング、ヒュー・ジャックマン、エディ・レッドメイン、ギレルモ・デル・トロ監督、アン・リー監督など多数。映画の予告編YouTubeチャンネル「Movie Repository」とセックス・ポジティブな社会を目指したニュースレター「S.I.P. Magazine 」を発信中。墨描きとしても活動中。(note/Instagram/Twitter/S.I.P. Magazine Twitter)