お宿・ホテル担当エディター石井が今いちばん気になるお宿へ【別府編】
星野リゾートの「界 別府」で五感を満たすエクスペリエンスを
GLITTER Vol.3「Luxe Voyage ~大切な人と過ごす リュクスなお宿~」でもご紹介した大分県別府市にある「界 別府」。星野リゾートが手がける温泉旅館ブランド「界」の18カ所目の施設として、2021年7月にオープンし、建築家・隈研吾氏がデザインを手がけ「ドラマティック温泉街」をコンセプトとした全室オーシャンビューのお宿として大人気。以前からコチラのお宿に興味を持っていたエディター石井がステイしてきました!
※館内はすべて許可を得て撮影をしております。
「終わらない校了はない!」を合言葉にGLITTER Vol.5の怒涛の校了を終え、心と体を癒しに待ちに待った「界 別府」へ。羽田までタクシーを飛ばし、1時間半前に到着。完全OFF気分で空港に着くなり、時間が余っているからと酒好きエディターとしては見ないふりができない朝シャンを。※酒好きは朝からシャンプーではなく、朝からシャンパンのことを指します。
優雅な気持ちになりながら、だんだんと張りつめた気持ちがほぐれてきたよう。チェックインは終わっているし、預ける手荷物もないし、余裕だな~とのんびり過ごして、いざ保安検査場へ向かうと……。
「20分前に保安検査場を通過しないと搭乗できません。1時間後の次の便にご登場いただく可能性もあります」
と空港職員の方からストップが。
あ~。しっとりとシャンパンを飲んでいた自分を心の中で叱責。すると……。
「間に合いそうです! 優先的にご案内しますので職員について、搭乗ゲートまでお進みください」
よかった~! と安堵しているのもつかの間、20代前半の男性職員に先導されて猛ダッシュ。ぐんぐん走り抜けていく若者に全く追いつけない、アラフォーな私。息を切らしながら、ようやく搭乗口に到着。
「お客様、間に合ってよかったですね! 良い旅をお過ごしください」
こんな私にもとても爽やかな笑顔で送り出してくれるなんて(泣)。航空関係者のみなさま、本当に申し訳ございませんでした……。
私、飛行機で寝るのがとても得意でして、寝て起きたら到着しているというのがいつものパターン。羽田空港から大分空港までの約1時間30分は瞬間移動レベルの感覚でした(笑)。
移動手段はバスをセレクトし(酒好きは飲みたいので旅先での車の運転を避けがちです)、約40分で別府北浜駅へ。この北浜地区の温泉街は明治時代に旧別府港が開港して以降、多くの湯治客が日本全国から集まって賑わいをみせた歴史が息づく場所。
その中でも風格とともに異彩を放つのが「界 別府」。それもそのはず、設計・デザインを手がけたのは、かの著名な建築家・隈 研吾氏。「ドラマティック温泉街」をコンセプトとし、建物全体を「ひとつの温泉街」としてイメージしたそう。
細長い小道をどんどん奥へと進むと、自然と高揚感が!
奥に進むとエレベーターがあり、2階に上がります。
フロントフロアに到着すると、目の前に広がるのは思わずため息が出るほどの圧倒的な開放感でゲストを迎えてくれる美しい別府湾!
このエリアは「湯の広場」と名付けられ、温泉で使う湯桶をモチーフにした「手湯」や、絶景を眺めながらの「足湯」が温泉気分を盛り上げます。
チェックインを済ませて、いよいよお部屋へ!
眼下に広がる佳景に心がほろほろとほぐれる
全国に展開し、地域性を大切にしている界ブランドを訪れる楽しみのひとつは地域らしさあふれる「ご当地部屋」。「界 別府」の最大のウリは別府湾ヌケの全室オーシャンビューのお部屋。内装にもこだわり、別府温泉の血の池地獄から着想を得た柿渋色をテーマカラーに採用したシックな佇まい。明媚な海景の藍色とのコントラストがゲストを豊かな気分へと導いてくれます。さらに、大分県の伝統工芸である繊細で優しい印象のある「豊後絞り」の意匠が随所にあしらわれ、客室に彩りとたおやかさが感じられます。竹の産地としても有名な大分の特色を活かした、随所にあしらわれている竹も印象的。
そして私が今回宿泊した「柿渋の間 露天風呂付特別室」。天井から床、壁から壁なでガラス張りになった窓から圧巻の光景! まるで別府湾の海、どこまでも続くかのような水平線が贅沢なアートのように広がる光景は、ゲストの心を果てしなく満たしてくれます。
源泉かけ流しの内風呂も最高に気持ちがいいオーシャンビュー!
アメニティはSDGsに配慮したポンプボトル式を採用。環境汚染や気候変動、自然エネルギー利用など、いち早くブランドや地域特性に合わせた環境活動に取り組んできた星野リゾートならではの配慮が素敵。
風呂敷は館内移動用の手提げ袋になったり、記念品として持ち帰ったときに、いろんな使い方を提案してくれるリーフレットがあったりと、至れり尽くせり。
体はもちろん心もすっきりクリアになる
2種類の内風呂に加えて露天風呂も
こちらの温泉は美人の湯として名高い、重曹成分を含む炭酸水素温泉。肌をしっとりと、吸いつくような滑らかな肌に導いてくれます。大浴場も隈研吾氏によるもので、内風呂には湯布院に自生する植物をイメージした臼杵焼きのオブジェが埋め込まれています。厳選かけ流しの「あつ湯」と、温泉成分を肌に浸透させるために加水した「ぬる湯」と2種類の湯舟。
また、露天風呂の浴槽は別府石で設え、四季の木々の移ろいとともに温泉が楽しめます。たっぷりと温泉を楽しみ、いざ上がってみると、肌質がしっとり、スベスベと感じられるのがスゴイ! さらに実感したのは湯上り後、普通にシャンコンしていただけなのに、パサパサだった髪がツルツルになっていたこと。当然、浴槽で髪を浸けるなんてことはしない訳なので、この地域の泉質、水質がいいという証ではないかと思うばかり。
温泉の共有部にはスキンケアのアメニティは、なんとDyson Supersonic Ionicヘアドライヤーが置いてあるなど、さすが星野リゾート!
湯上り後は「湯上がり庭園 」にてひと休み
こちらには、火照った体を覚ましてくれるドリンクやアイスキャンディのサービスがあり、中庭で休憩しながらいただけます!
私はゆず茶を一杯。爽やかな香りと、すっきりとした甘みでとてもおいしかったです。
豊後水道は日本でも有数の魚介の宝庫!
大分の特産品がたくさんいただける食事に感動
食事処の暖簾をくぐると吹き抜けが広がり、大分県の特産の竹を使ったシャンデリアのようなモダンなオブジェが。席に案内され、お献立を拝見すると、今回いただく特別懐石の内容に魚介類が大好きな私の期待感がどんどん高まるラインナップ。
湯上りということもあって、私が選んだお酒はマッカランのソーダ割。前回も宿の記事でマッカランのリーズナブルさに感動していましたが、こちらのお宿も破格の¥900でご提供なんて、うれしすぎ!(都内では普通のバーでも¥2,500前後します!!)。
さまざまなウイスキーが本当に値上がりしているいま。希少価値が上がっているお酒をきちんと安定的に取り揃えられるお店はすごいことなんだと思う今日この頃。特にお宿でリーズナブルな価格で提供できるのは、ホスピタリティがあってこそなのではと実感するとともに「界 別府」にも心から感謝。そうこうしているうちにお食事が運ばれてきました。
先付け「かぼす麺とウニのジュレ仕立て」。
大分の特産産であるかぼすのスカッとした香りと味わいのある麺がジュレのお出しを引き立てて、ウニの甘さを引き出していてとってもおいしい!
煮物椀「錦秋鶉真薯 振り柚子」。
八寸「宝楽盛り」。
お造りの盛り合わせ、酢の物、揚げ物と続き……。
台の物「豊後鍋」。
伊勢海老やクエ、ふぐを中心とした新鮮な魚介に、自家製の団子麺など、別府にちなんだ食材がなんとも贅沢! 日本一の生産量を誇るかぼすを先に鍋に投入することで、香り高い味わいが広がります。
甘くてブリンブリンの伊勢海老。味噌も溶け出して至極の味わい。クエ、フグと豊後水道の海の恵みに感謝が尽きない、ぜいたく海鮮鍋が絶品。カボスの爽やかな酸味が利いているので、さっぱりと締めのお雑炊までおいしくいただけました!
甘味「界 別府特製 やせうまあんみつ」。やせうまとは小麦粉で作ったひらたい麺状のものにきなこと砂糖をまぶして食べる大分の郷土料理。そこに粒あんとヴァニラアイスクリームを添えて。
伝統文化、民藝に触れるエクスペリエンスを
純真無垢な童心に返って楽しもう!
温泉配管をモチーフにした「ラボ」での温泉水を使ったオリジナルミスト作り。
別府温泉の成り立ちや泉質などの講義も分かりやすくて楽しい! 久しぶりの実験道具にテンションが上がります。
こちらが完成したオリジナルミスト。
夜の館内には湯けむりが漂い、和紙のちょうちんが照らす石畳の路地や、夜店をイメージした空間が広がります。
「地獄ラーメン」の屋台や、色鮮やかなカクテルを楽しむ「地獄巡りバー」。
ついつい大人も夢中になってしまう「別府八湯輪投げ」「スマートボール」などが登場します。
「別府温泉絞り体験」(1人1,800円。事前要予約制)では、温泉の泉質や温度によって色の抜け方が変わる性質を活かした、絞り染めが体験できます。
まずはベースとなる赤色、もしくは青色のハンカチを選び、そこに輪ゴムお箸、木のボールを使って模様をつけていきます。私は青色を選択。輪ゴムをメインで使って、大判の柄をイメージしてみました。
こちらが完成品。
このようなたくさんのエクスペリエンスを用意してくれているので、館内で1日中楽しめるのも「界 別府」のすごいところです!
旅の楽しみのひとつである朝食は
温泉の湯気をイメージした「せいろ蒸し」がメイン
朝食の献立。
メインの「せいろ蒸し」
野菜がたっぷり食べられ、ヘルシーなのがうれしい「せいろ蒸し」。こちらをゴマだれ、もしくは、大分で親しまれている醤油をベースにした、りゅうきゅうだれでいただきます。
地元ではお祝いの席でいただくという糸すじ青のりと麦味噌のお味噌汁や、大分の郷土料理・辛子椎茸など、こちらも郷土色豊か。小鉢、焼き物、珍味、食事とどれもおいしくいただきました! やっぱりお宿の朝食は最高ですね。
訪れたら納得する「界 別府」の素晴らしさを
たくさんの人に体感してほしい!
こちらは私が泊まったお部屋から撮影したお月様と朝日。
こんなにも海って美しいのかと、感動するほど、素晴らしかったです。お宿でのもりだくさんなおもてなしに、すっかり「界 別府」の虜になったエディター石井。やっぱり旅は楽しいと実感し、もっともっと旅に行きたくて仕方がなくなりました。
そういえば、国内では10月11日からスタートした全国旅行支援。躊躇していた人も、国が押している政策だし、せっかくなら活用して、自由に旅に出てもいいのでは? いままで以上の喜びを感じられる旅にきっと出会えるはずですよ!
界 別府
大分県別府市北浜2-14-29
電話: 050-3134-8092
エディター・石井
PROFILE
GLITTERにエディターとして参加。美容&美容医療、旅館&ホテルなどのラグジュアリーなライフスタイル関連などの記事を担当。ビューティ本の執筆や化粧品会社のカタログ、会報誌などの制作も。好きなことは、素敵な空間でお酒を飲むこと。最近は美容医療すごさに感動し、日夜その情報収集に勤しむ。(@nahoko11o6)