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2022.05.17

小池徹平×黒羽麻璃央interview ミュージカル『るろうに剣心 京都編』で対峙するふたりが語る、役を生きる表現者としての変化

アニメ、実写映画などさまざまなエンタメ作品として展開されてきた人気コミック『るろうに剣心-明治剣客浪漫-』。その「京都編」がミュージカルとして開幕した。数々の名作を生み出してきたミュージカル界の巨匠・小池修一郎が脚本・演出を務める同作が上演されるのは、360回転する客席を取り囲むステージでダイナミックに作品世界を体験できるIHIステージアラウンド東京。そして、主人公の緋村剣心を小池徹平、敵対する志々雄真実を黒羽麻璃央が演じる。優しさと強さを併せ持つ剣心と、悪のカリスマ・志々雄が対峙する物語に、彼らはどう挑むのかーー。作品への思い、そして発売中の最新号『GLITTER vol.4』の特集テーマである『Transformers! NEW OLD/NEW ME!! 〜変化変容で新しい自分へ〜』に絡めた質問も投げかけた。

過去を乗り越えて今を生きる剣心の優しさを、お芝居だけじゃなく歌やダンスで表現できるのが楽しい(小池)

――稽古の真っ最中とのことですが、歌やダンス、殺陣というさまざまな表現でこの役を演じることの面白さややりがいを、どう感じていますか?

黒羽「僕は『るろうに剣心』がマンガの中で一番好きな作品なんですけど、原作のいちファンとして、『るろうに剣心』のミュージカルで、志々雄がどういう歌を歌ったり、どういう動きをするんだろう?というのはすごく気になっていたし、実際にそれを立体的にしていくことはすごく面白いです。自分が演じるわけですけど、純粋なファン目線からも、志々雄の曲や振付をいただくたびに、『ああ、こういう歌詞なんだ』とか、ひとつひとつ宝箱を開けているような感覚で、毎日、新鮮で楽しいんです。演出や音楽、振付をしてくださる皆さんがすごく素敵なものを作ってくださるので、僕はできる限り皆さんが望むものを表現としてうまく出せたら、という思いでやっています」

小池「僕も、連載中から読んでいた大好きな『るろうに剣心』のミュージカルが、どういうものになるんだろうっていう期待がありつつ、こんなに素晴らしい作品で、剣心を演じさせてもらえるという嬉しさがまずありました。剣心の戦う者としての強さだけではなく、いろんな過去を乗り越えて今を生きている優しさを、お芝居だけじゃなく、歌やダンスで表現することが、すごく面白いです。小池(修一郎)先生も、原作へのリスペクトから、和月(伸宏)先生が書いている言葉を台詞に引用したりしているから、原作のイメージに、ミュージカルとしての表現が重なっている感じなんですよね。歌も、歌詞というより思いを吐露する台詞としての表現ですし、振付も、キャラクターの心や人物同士の距離感を大事にして付けてくださっていて。だから、原作が好きな方も、『歌ってるな』『踊ってるな』ということを気にすることなく、ショーとしてすごく楽しんでいただけると思います。僕らも、すごく楽しんで演じさせてもらっています」

悪を演じるのは楽しい。モラルから解き放たれる感覚がある(黒羽)

――稽古を通して感じる、お互いの役者としての魅力を教えてください。

黒羽「まず僕からすると、小池徹平さんって、神様みたいな存在なんですよ」

小池「(笑)。麻璃央くんは、ジュノンボーイの後輩なんだよね」

黒羽「そうなんです。僕が(ジュノン・スーパーボーイ・)コンテストを受けたときに、OBとして徹平さんがゲストでいらっしゃって。僕らの世代にとっては、ジュノンボーイ=小池徹平さんなので、今回、その方と一緒に稽古をして本番を迎えられるのが、当時から考えたらすごいことなんですよ(笑)。なんて幸せなことをやらせていただけてるんだろうっていうところから始まっているんです。そしていざシーンを共にしていると、徹平さんの優しさが剣心に投影されているのを感じて。徹平さんが演じることで、剣心の心の柔らかい部分がより際立って、一緒に舞台に立っていても、すごく心地がいいんです。物語としては対峙しなければいけない役どころですけど、ひとつでも多くのものを徹平さんから盗んで、俳優としての表現につなげたいなと思ってます。勉強させていただいております」

小池「いやいやいや(笑)。でも、そう言ってもらえて嬉しいです」

黒羽「剣心と志々雄も、人斬りとしての先輩後輩という関係なので、おこがましいですけど、自分たちにもちょっと近いものを感じますね」

小池「麻璃央くんとの共演は初めてですけど、これまでの作品での役どころからも、さわやかなイメージがあって。でも今回、志々雄という、ふだんの麻璃央くんのイメージにない悪役なんですよね。志々雄には志々雄なりの正義はあるわけですけど、物語の中では剣心の敵で、悪じゃないですか」

黒羽「そうですよね」

小池「僕は、麻璃央くんがそんな悪を演じるのを、非常に楽しんでいる印象を受けています。志々雄は、殺陣にしても、剣心とはまったく違う荒々しさがあるし、口調も、人にダークなものを投げかけるような強いセリフが多くて。麻璃央くんは稽古の中で、日ごとにいろいろなニュアンスを試したりして、楽しんでるなと感じます。その積み重ねで、どんどん志々雄ができあがっている過程を、僕はニヤニヤしながら見ています(笑)」

黒羽「ありがとうございます(笑)。やっぱり、こういう役は楽しいですね。モラルから解き放たれた感じがあります(笑)」

さまざまな役を通して、自分自身が変化できるのがこの仕事の醍醐味(黒羽)

――5月発売の『GLITTER vol.4』の特集テーマである『Transformers! NEW OLD/NEW ME!! 〜変化変容で新しい自分へ〜』についてもお聞きしたいんですが、おふたりは、大きく変わっていくことと、できることを地道に積み重ねて現状を維持しながら進んでいくこと、どちらがお好きですか?

黒羽「難しいな……でも、変わっていくことは楽しいです。与えられる役柄によって自分自身も変わることができるのが、このお仕事の醍醐味だと思いますね。志々雄がまさにそうですけど、演じたことのないタイプの役を通して、今までの僕の人生でなかった色が自分に足される感覚があるんです。現状を維持したくても、役を重ねる中で、そうはいかないところはありますね。人生に対する考え方も、そのとき演じている役や作品によって変わることがあります」

小池「その二択で考えてみると、僕は、どちらにも当てはまらないんですよね。僕自身、現状維持ということはあまりなくて、小さいながらの変化が非常に多いかなと思います。お仕事や作品からの影響もありますし、子どもの成長から感じるものとか、日常的な変化もありますし。大きな変化って、今回のコロナ禍や災害とか、環境的なものが多いので、そういう変化にうまく対応できない状態のまま、自分の日常に追われて生きている感じもします。でも、僕は変化し続けることに関してはすごく前向きで、ポジティブに受け止めていますね」

かわいいと言われ続けて「このままじゃダメだ」と、少しずつ変わっていくことを意識しました(小池)

――今までの人生の転機で、あえて自分を変えようとしたり、大きな変化へと舵を切ったりした経験はありますか?

黒羽「変化という点では、僕にとって小池先生との出会いは大きかったですね。その前からミュージカルをやらせてもらう機会はあったんですけど、小池先生の作品に出演したことで考え方ががらっと変わって、よりミュージカルに真摯に向き合うようになりました。ミュージカルを心から楽しいと思えるきっかけが、先生との出会いでしたね。最初にご一緒したときの作品の顔合わせで小池先生が、『ミュージカルというのは、特別なものを神様に与えられた限られた人にしかできないお仕事です』とおっしゃっていて。総合エンターテインメントだから、歌えて、ダンスができて、お芝居ができるという、表現者としてすべてを備えてないといけないとお話されていて、それが僕に刺さったんです」

――考え方の変化によって、黒羽さんの行動や振る舞いは具体的にどう変わったのでしょうか。

黒羽「今年はミュージカルにたくさん出演する年にしようとか、レッスンを受けにいくとか、そういう行動の変化がありました。よりミュージカルに真摯に取り組むための自分磨きをしようと決めて、動くようになりましたね」

小池「僕は20年ぐらいこのお仕事をさせてもらっているので、その中での変化はたくさんあるんですけど、役者としての大きな変化をあげるとすると――デビューしてから、歌のお仕事をさせてもらったりもして、当時は何をやっても『かわいい』って言われる時期があったんです。ありがたい気持ちもある一方で、ずっとこのままじゃ絶対ダメだよなって思いも強くて。今はそれでいいとしても、年齢を重ねていく中で、変わっていかなきゃいけないと思っていて。でもいきなり変えるのは無理があるから、将来に向けて、自分が本当にやりたい役に挑戦したりして、コツコツと、でも明確に、チェンジしていくことを意識しましたね」

――「変わろう」とハッキリ決めて、そのステップも考えていたわけですね。

小池「大人計画の皆さんや古田新太さんといった、独特な感性を持つ方との出会いも大きかったです。僕自身、そういう方々の感性が非常に好きで、そういった方々とお仕事するようになって、自分がやりたいと思う表現って、本当にいいんだなと思えたんです。それまではわりとさわやかな役が多かったんですけど、今後もそういう役を演じ続けるのは難しいと感じていたので。今回の麻璃央くんの志々雄役もそうですけど、自分のイメージとかけ離れた振れ幅のある役を演じたかったので、どうやったらそういう役ができるんだろうと考えて、主に舞台で新しい役を経験していくうちに、変わっていけたかなっていう気がしています。マイナーなチェンジを繰り返してきた感じですね。今は、今回のようなまっすぐで優しい剣心という役も演じられるし、まったく違うさまざまな役もいただけるので、すごく楽しいです」

――最後に媒体名の『GLITTER』にかけて、おふたりが輝くために欠かせないものや、輝くための秘訣を教えてください。

黒羽「好きなものにとことん没頭することです。僕、野球が大好きで、どんなに忙しくても野球は見ますし、好きなものに熱中する時間は確保するようにしています。輝くための秘訣は、熱中することだと思います」

小池「輝くために大切なのは、楽しむことです。どんなものの中にも、いい部分や楽しいことって絶対にあって、僕はそれを見つける作業が好きなんです。大変なことでも、大変な中でもこれをやれたら最高だよねっていう、目標や楽しみを見つけると気持ちが楽になりますし。目の前のことを楽しめない人がいるとしたら、この大変なことをやったらあれをやろうっていう自分の中での目標やご褒美を作れば、心に少しスペースができて、今を楽しめる気持ちになると思います。シンプルですけど、楽しむことが輝ける秘訣かなと思います」

■PROFILE■

小池徹平

1986年1月5日生まれ、大阪府出身。第14回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞し、芸能界デビュー。2002年「WaT」を結成し(2016年まで活動)歌手としての活動をスタート。同年、ドラマ『天体観測』(CX)で俳優デビュー。2006年、WaTとして第43回ゴールデン・アロー賞 新人賞、日本ゴールドディスク大賞ニューアーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞。ドラマ・映画・舞台などに幅広く出演し、俳優としての地位を確立。2012年、岩松了演出の『シダの群れ 純情巡礼編』で初舞台を踏む。2016年度の第42回菊田一夫演劇賞で演劇賞を受賞。秋に3度目となるブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』への出演を控えている。2022年、俳優デビュー20周年を迎える。

 

黒羽麻璃央

1993年7月6日生まれ、宮城県出身。2010年の第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト準グランプリを受賞し、12年にミュージカル『テニスの王子様』で俳優デビュー。以降、ミュージカル・ストレートプレイ問わず舞台に多数出演。近年は、映画・ドラマやバラエティ番組と幅広く出演、さらに2020年には情報番組『ヒルナンデス!』シーズンレギュラーを務めるなど活躍の場を広げている。2019年から第9期みやぎ絆大使を務めている。2022年8月22日に企画プロデュースを務める『ACTORS ☆LEAGUE 2022 in Baseball』が東京ドームで開催予定。

 

■INFORMATION■

ミュージカル『るろうに剣心 京都編』

原作:「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」和月伸宏(集英社 ジャンプ コミックス刊)

脚本/演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)

音楽:太田健(宝塚歌劇団) 和田俊輔

出演:小池徹平 黒羽麻璃央 松下優也 加藤清史郎 岐洲匠 奥野壮

井頭愛海 鈴木梨央 伶美うらら 山口馬木也 加藤和樹 ほか

 

2022年5月17日(火)〜6月24日(金)東京都 IHIステージアラウンド東京

 

Photos Hirohisa Nakano / Styling Yosuke Matsushita(小池徹平), Kyu Hokari(黒羽麻璃央) / Hair&Make-up Hiroaki Miyauchi@M’s factory(小池徹平・黒羽麻璃央) / Words Miki Kawabe / Edit Kaori Watabe

 

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