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古川雄輝interview 自由気ままな猫の魅力と内面の美しさが滲むセクシーな振る舞いを語る

シリアスからコメディまで幅広く演じ分け、海外のエンタメファンからも熱く支持される古川雄輝。猫付きのシェアハウスで暮らす人々を描く2022年4月スタートのドラマ『ねこ物件』で、主人公の二星優斗を演じる。猫好きという自身にとって念願の猫ドラマでの撮影エピソードや、猫に惹かれる理由、そして『GLITTER vol.3』の特集テーマである「セクシャルとパートナーシップ」や、輝くための秘訣についても語ってもらった。

猫は何回も同じ動きをしてくれるわけではないので、演者側がNGを出すわけにいかない、なんてことも(笑)

――『ねこ物件』の主人公の優斗は、猫を通じて人とつながることや夢を持つことに一歩を踏み出しますが、徐々に変化していく優斗に古川さん自身が共感するところはありましたか?

「僕自身、年齢を重ねる中で人との接し方を学んだり、失敗から学んだりすることもあるので、そういう部分には共感できましたね。優斗は30歳になっても外で働いたことがなく、おじいちゃんに教えてもらったことや猫から学んだこと、自分の家の中のことがすべてという、極度の世間知らず。人よりスタートは遅いかもしれないけど、そんな彼が成長していく姿は、皆さんも共感できると思いますね」

――優斗というキャラクターは、どのように作っていったのでしょうか?

「最初に監督と役についてお話したとき、世間知らずで変わり者な姿をナチュラルに表現してほしいと言われたんです。たとえば優斗の『ボクシングって、あの殴り合うやつですか?』ってセリフがあるんです。そういう、変わったことをナチュラルに言える人物というところに向けて役作りをしました。優斗は人間とはうまくやっていけないけど、とても心優しい人。だから、喋り方も全体的にやわらかく、ふわっとした印象を与えるイメージで喋りましたね。それに彼は、普通の人が恥ずかしがるようなことも、そうは思わないんです。たとえば第1話で『働いたこと、ありますか?』って聞かれて、『ないです』って答えるシーンがあるんですけど、普通の人なら恥ずかしくて伏し目がちになるようなことも、彼は面と向かって普通に言います。そういう、人とちょっと違う感覚を表現できたら、その後の彼の不思議な言動も成立するのかなと思って役を作っていきました」

――猫好きとして、念願の猫ドラマ主演ですね。

「猫ドラマに出られることはもちろん嬉しかったんですけど、猫好きであることと、猫との撮影をうまくやれるかというのは別物で、想像以上に大変でしたね。猫は自由気ままなので、猫に合わせて撮影を進めなければならないことも多くて。今、猫がご飯食べてるから今のうちにご飯のシーンを撮っちゃおうとか、猫がここにいるうちに、ここで撮るシーンを先に撮ろうということになって、近くに行ってお芝居をしたりとか。猫は何回も同じ動きをしてくれるわけではないので、演者側がNGを出すわけにいかない、なんてこともありました(笑)」

――古川さんから見た、猫の魅力というと?

「人間に媚びていないところかな。人に喜んでもらおうとするワンちゃんと違って、猫って、自分の人生をそのまま生きている感じがします。優斗のセリフに、『僕は猫特有の性質が好きなんです』っていう言葉があるんですけど、猫好きのことをわかってるなと思いましたね。僕も猫の性質が好きなんですけど……もう少し、かわいい答えを言わないとダメですよね……肉球とか、しっぽとか(笑)。人間のほうから無理に構いにいくこともなく、猫が来たら触らせてもらうというか、お互い気を使わない関係性がいいのかなと思います。今回の撮影でも、ドラマだからある程度は仕方ないにしても、猫好きが見たら不自然に思うようなシーンを極力減らしたいと思ったんですよね。『猫好きが見たら引っかかるんじゃないか?』と僕が思って、台本を変えて撮ってもらったところもあります」

――優斗は、猫から学んだことをコミュニケーションに生かしたりもしていますが、古川さん自身が猫から学ぶことはありました?

「猫から学ぶことは……ないですね(笑)。でも何かに影響を受けることなく、自分を中心に生きているところは、いいなあとは思います。もともと僕、猫があまり好きじゃなかったんですよ。子どものときに抱っこして耳をかまれたり、近所にあった猫屋敷のイメージが悪かったこともあって、犬派だったんです。でも、大人になって猫好きの人が飼っている猫と触れ合ったときに、猫って頭いいんだなってわかって興味を持ち始めて。猫はわかっててやってるし、こちらの感情も伝わっていて、意外と意思疎通がとれるなって思ったんですよね。こちらから行ってもかまってくれないけど、『なんでかまってくれないの?』って思っているうちに、徐々に好きになっていきました(笑)」

猫たちに癒され、主人公の気持ちは観る人たちの悩みにリンクすると思う。仕事で疲れたときなどにゆったり観てもらいたい

――猫好きって、猫の気ままな生き方に憧れたりもするし、猫と似たようなところもあるのかなと思うんですが、古川さんは猫好きにはどういう人が多いと感じます?

「猫が好きな人は、自分より相手を優先できる人だと思うんです。自分を中心に動いている猫を受け入れられるから、猫好きっていい人が多いと思うんですよね。でも猫を好きすぎると、ちょっと変わり者になっちゃう(笑)。主人公の優斗も変わっていますからね」

――今回、タレント猫ちゃんと、普通のおうちで飼われている猫ちゃんのどちらも出演しているそうですね。

「猫同士の関係性も考えながら撮影したのは印象的でしたね。たとえば、別の環境から来た猫3匹に並んでもらうとき、兄弟じゃないから、隣同士でけんかを始めちゃったり、逃げちゃったりするんです。そういうときは両側の猫と仲良しな子を真ん中にすると、うまくいきました。タレント猫と家猫の違いも面白かったです。タレント猫のヒゲちゃんはすぐに現場に慣れたけど、家猫のチャーは、最初のほうは壁を登っちゃったりとかしてて。でも徐々に慣れていくと、猫の芝居もどんどん良くなっていくんです。チャーが本当にかわいいんですよ。ドラマの冒頭に、朝、優斗が起きて、体の上に乗っているチャーに『おはよう』って言うシーンがあるんですけど、実は最初は『シャー』って言われて、猫パンチをくらったりしていたんです。そういうところもかわいかったです(笑)」

――観る人に、この作品からどんなことを感じ取ってほしいと思いますか?

「猫好きな人はもちろん、いろいろなことを感じ取ってくださると思うんですけど、猫好きではない人にとっても心あたたまるドラマだと思います。大きな起承転結の波はなくて、皆さんの日常と同じようなペースで描かれる猫との生活の中で、主人公が少しずつ成長していくんです。だから、観ていると自分も一緒に成長している気持ちになれるドラマなんですよね。猫たちにも癒されるし、主人公の気持ちは観る人たちの悩みにリンクすると思うので、仕事で疲れたときとかに、ゆったり観てもらいたいですね」

ありがたいと思ったときは「ありがとう」と言う、悪いなと思ったらきちんと「ごめん」と言うこと、あとはあいさつ

――今、発売中の『GLITTER vol.3』のテーマである「セクシュアルとリレーションシップ」についてもお聞きしたいんですが、古川さんが公私ともに、人とパートナーシップを築く上で大切にしていることは何ですか?

「僕は人付き合いが非常に苦手なんです(笑)。苦手だからこそ考えた結果、ありがたいと思ったときは『ありがとう』と言うことと、悪いなと思ったらきちんと『ごめん』と言うこと、あとはあいさつ。この3つだけは絶対に守ろうという結論に至りました」

――『ねこ物件』のような猫のシェアハウスがあったら、住んでみたいです?

「猫と一緒に暮らせる物件は住みたいですけど、シェアハウスは遠慮したいです。高校生の3年間が寮生活だったから、共同生活はもう十分かなって感じです(笑)」

――そうなんですね(笑)。寮生活での人間関係はいかがでした?

「うまくできてなかったと思います(笑)。学年の中でも、喋ったことのある人は1割ぐらいだったと思いますよ」

――広く浅くではなく、信頼できる相手と深く関係を築くタイプだったんですね。

「そうかもしれないですね。ただ、広く浅くの関係性が必要なときもあると思うので、そういうコミュニケーションができるように努力もしてきましたけど、やっぱり難しいです(笑)。最近は俳優の後輩も増えてきたので、後輩とどう接するかということもひとつのテーマです」

――後輩の方とのコミュニケーションで意識していることを教えていただきたいです。

「役者同士のコミュニケーションは、ほかの職業に比べると少し特殊かもしれませんが、後輩には、こちらから必ずひとつは質問するようには心がけてます。たとえば僕の10歳年下の後輩が僕に話しかけるのって、よほど人間関係を築くのがうまい子じゃない限り、遠慮してしまうと思うんですよ。だから、僕からひとつでもいいから質問をすることは意識してますね」

年齢に関係なく、考え方が自分よりひとつもふたつも上をいっている方は魅力的

――古川さんが同性、異性問わず、人に対してセクシーだなと思う瞬間どんなときですか?

「姿勢がいい人はセクシーだなと思いますね。背もたれにだらっともたれかかっている人よりも、まっすぐに座っている人のほうがセクシーですよね。飲食店とかでも、誰が見ているわけではないけど、すっと座っている女の人を見ると、あ、綺麗だなと思います」

――姿勢には人柄も現れると思うのですが、その姿に魅力を感じているんですね。

「人前にいるときの振る舞いをきちんと意識している感じが魅力的だと思います。笑うときも、わっはっはって手を叩いて笑うよりも、口元を隠して笑っている姿のほうが、僕は魅力的に見えます。マナーの良さや、大人っぽさを感じますね。特に自分より若い子がそういう仕草をしていると、すごいなぁと思います」

――生き方や人生を見ていて、魅力的だなと思う人ってどんな人ですか?

「年齢に関係なく、考え方が自分よりひとつもふたつも上をいっている方は魅力的だなと思いますね。女性は若い人でも精神的に落ち着いている方が多いですけど、そういう人はセクシーだなと思います。落ち着いた方に会うたびに、僕も含めた男は子どもだなと思いますね(笑)」

――姿勢が良い人の印象もそうですけど、古川さんは成熟した内面が見えると、魅力を感じるんですね。そういう方を見ていて、自分もそうなりたいと刺激を受けることも多いですか?

「僕がそうなれないから魅力を感じるんです(笑)。僕が大人じゃないから、そういう人がかっこよく、セクシーに見えるんだと思いますね」

――古川さんが、日々、輝くために欠かせないものは何ですか?

「……この質問、猫って答えたほうがいいんですかね(笑)。猫でお願いします」

――そのつもりはなかったです(笑)。では、猫以外にあえて挙げるとしたら?

「仕事ですね。猫と仕事です(笑)」

――仕事がどういうふうに、自分に輝きを与えていると思いますか?

「実際、忙しく働いているとそれがわからなかったんですけど、コロナ禍の自粛期間に、仕事をあまりできなかった時期があったんです。そのときに、仕事がないと毎日が楽しく感じられなかったんですよね。社会とのつながりも途切れてしまうこともあって、僕にとってはそれもよくなかったです。自分の輝きというか人生のメリハリは、働いていることで得られるんだと改めて思いました」

 

■PROFILE■

古川雄輝

東京都出身。7歳でカナダ・トロントへ。15歳で単身アメリカ・NYへ。11年間を海外で過ごす。18歳で帰国し、慶応義塾大学理工学部に入学。2009年ミスター慶應に選ばれたことをきっかけに、2010年“キャンパスターH★50withメンズノンノ”にて審査員特別賞を受賞。2010年夏に役者デビュー。

 

■INFOMATION■

(C)2022「ねこ物件」製作委員会

 

「ねこ物件」

2022年4月よりテレビ神奈川、TOKYO MX、BS11ほかにて順次放送スタート

 

Photos Yukie Abe /  Words Miki Kawabe / Edit Kaori Watabe

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