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西野七瀬interview「簡単にできることはないし、逆に簡単にできてしまってもつまらない。追い込まれている状況も嫌いじゃないんです」

『空飛ぶタイヤ』や『下町ロケット』など、ベストセラー作家・池井戸潤作品を多く映像化してきたWOWOWから、累計発行部数50万部突破の『シャイロックの子供たち』のドラマが放送される。井ノ原快彦演じる主人公・西木雅博の部下で、銀行内で発生した現金紛失事件に巻き込まれる銀行員・北川愛理を、西野七瀬が好演。『孤狼の血 LEVEL2』でアカデミー賞優秀助演女優賞と優秀新人俳優賞を受賞するなど、女優としてますます輝きを放っている彼女に、今作への意気込みや発売中の『GLITTER vol.5』の大テーマ“Glittering Stars!”に合わせ、輝き続ける秘訣などを訊いた。

いろいろなことが次から次に起こっていくのが面白く、飽きずに楽しめる展開。

――「連続ドラマW シャイロックの子供たち」は、池井戸潤さんらしい銀行ドラマでありつつ、ミステリーとしても楽しめる作品ですね。まず、台本を読んだ時の第一印象から教えてください。

「台本を読んでいて本当にいろいろなことが次から次に起こっていくのが面白くて、飽きることなく楽しめる展開だと思いました。銀行が舞台ということで、知らない専門用語やシステムも多く難しいところもあったんですけど、その都度調べたりしながら、なんとか自分の中で理解していきました」

――銀行という要素は、お芝居するうえでも難しかったですか?

「私が演じた北川愛理は受付窓口の担当で、そこまで難しい言葉は出てきませんが、ほかの方が難しそうな会話をしているのを聞いて、すごいなぁと思っていました。あと、札勘(お札を数える作業)を練習しました。事前に練習キットをいただいて練習して、一応かたちとしてはできるようになりましたが、やっぱり本職の方はスピードが全然違って。もう、職人技ですよね。私はあまり器用じゃないので、お札の持ち方をずっと勘違いしたまま覚えていたみたいで。友人のお母さんに元銀行員の方がいらっしゃったので、1回見ていただいたら、はっきりと『違うよ』って言われてしまいました(笑)」

――北川愛理は銀行員ということでカチッとした制服ですが、実際に着てみた感想は?

「制服がすごくかわいいんです! 衣装合わせで何パターンか着て、ひとつに決まったんですけど、着心地もよかったです。ただ、ヒールのパンプスは履き慣れていなくて、ちょっと痛かったです(笑)。ヒールでお仕事をされている方々は改めてすごいなと思いました」

愛理はすごくしっかりしているので、共感というより尊敬。

――物語では、男性銀行員同士の権力争いの側面もありつつ、女性同士の戦いも描かれているのが印象的で。

「現場についていただいていた監修の方が、銀行では実際に社内恋愛があり得るということをおっしゃっていて、そうなんだ!と驚きました。同じ社内で恋人が働いてるってどんな感じなんだろうと思いながら、ちょっと疑似体験ができて面白かったです」

――演じる際に意識したことはありましたか?

「今まで自分が出演したことのないタイプの作品だというのは台本を読んだ時点で思ったので、この世界観に馴染めるように意識しました。事件に巻き込まれて、謎を追っていくという役どころも、あまりやってきたことがない役でした。撮影が始まる前に、監督さんから『愛理は真面目な子』という話をうかがって、真面目で正義感が強いということを常に頭に置きながらやっていました。意味深な場面など、このシーンはこう見せたい、というところは細かく監督の指示を聞きながら撮っていきました」

――愛理に共感できる部分もありそうですね。

「愛理はすごくしっかりしているので、共感というより尊敬です。25歳で家計を支えていたり、昇進のために勉強をしたり。私はルーズなほうだと思いますし、将来のための勉強も難しくてあんまりわかっていなくて……。だから、愛理はすごいなぁと思っていました」

――本作に限らず、役作りでは自分と似たところを探したりもしますか?

「共通点を探したりもしますが、どちらかというと自分の周りにいる人の中から探すことが多いです。今回も真面目というキーワードがあったので、知人の中から真面目だなと思う人を思い浮かべたりしました。頭の中でその人がこのセリフを言っていたらどうなるかな?って考える癖があるんです」

――主人公・西木雅博役の井ノ原快彦さんとの共演はいかがでしたか?

「西木さんはすごく頼れる素敵な上司で、私の中で井ノ原さんと西木さんはイコールでした。一緒のシーンが多く、たくさんおしゃべりする時間があって、とても優しくしてくださいました。それに、優しいだけじゃなく、『大変だよね』とか『早く帰りたいよねえ』とか、ちょっとマイナスのような気持ちも明るく話してくださるんです。井ノ原さんがいることで、現場の空気がやわらかくなるような感じがしました。動物好きという共通点も見つかって、『この動物の動画、観たことある?』とか『これ、面白いですよ』って情報交換したのも楽しかったです」

――井ノ原さんもそうですが、共演者の方から刺激を受けることも多そうですね。

「萩原聖人さんが演じている副支店長の古川(一夫)さんが、パワハラ系の上司で、いつも怒っている役で。撮影で同じシーンを繰り返しても、萩原さんはすぐに怒りの沸点まで持っていかれるので、毎回本当に怖い(笑)。すごいなぁと思いました。イヤな上司に見えちゃうんですけど、普段お話している時はおちゃめな方だったので、ギャップがすごかったです。その副支店長に愛理が厳しく詰められるシーンがあるんですが、そのシーンはすごく印象に残っています。監督はあまりテイクを重ねない方だったので、1テイク1テイクに集中して臨みました。自分でも、どういうふうに完成しているか楽しみにしているシーンです」

簡単にできることなんてないし、逆に簡単にできちゃってもつまらないと思う。

――近年、Amazon Originalドラマ『ホットママ』での母親役だったり、アカデミー賞優秀助演女優賞と優秀新人俳優賞を受賞した『孤狼の血 LEVEL2』でのクラブのママ役だったり、さまざまな役に挑戦されていて。女優というお仕事や、演じるということに対しての想いに変化はありましたか?

「今年5月に『みんな我が子 -All My Sons-』という舞台に出演していたのですが、3年くらい前にお仕事をご一緒した方が観に来てくださって、『お芝居に興味を持ってるのが伝わってきたから嬉しい』と言っていただけたんです。自分では意識していませんでしたけど、そうなれてるんだ!と思うと、とても嬉しかったです。私自身は、毎回どの作品でも難しく感じていて、『あぁ、わからない!』って悩みながらやっているので」

――難しいからこそ楽しいという感覚も?

「捉え方次第ですよね。私は毎回、試練だなぁと捉えることが多いんです。だから、そのたびに自分で自分を追い込んで、乗り越えていかなきゃっていう気持ちで向き合うんですが、簡単にできることなんてないし、逆に簡単にできてしまってもつまらないと思うので。追い込まれている状況も嫌いじゃないんです」

輝き続ける秘訣は、心の健康。保つために息抜きは必要。

――2022年8月30日発売の最新号『GLETTER vol.5』では、『Glittering Sters!』が大テーマなのですが、西野さんが思う「輝いている人」とは?

「楽しそうな人を見ると、輝いているなって思います。仕事でも何でも、充実してそうな人かな」

――ご自身でも、楽しむことを心がけていますか?

「結構、差が激しいかもしれないです。ご機嫌な時は、歌を歌っちゃうくらいのテンションになるし(笑)。現場で『何の歌?』って訊かれたりもして、そういう時はだいぶイキイキしていると思います。でも、なるべく楽しくいたいと心がけるようにしていますね」

――自分にご褒美をあげたり?

「ご褒美は多めですね(笑)。自己肯定感が低いほうなので、それを高める方法として、できなかったことを考えるより『今日はこれができた』みたいなことを毎日3つくらい書くといいって教えてもらったんです。だから、『朝起きられただけでえらい!』とか、そんなレベルで自分を褒めています。日によっては全然ダメで、もう反省会モードになっちゃう日もありますけど……なるべくネガティブは寄せ付けないように意識して。ちょっとでもマイナス思考の波が忍び寄ってきていたら、忘れるためにYouTubeとかを観て、気を紛らわせています」

――具体的に、これがあると輝けるというアイテムや、輝きを取り戻せることというと?

「今はゲームですね! 『モンスターハンター』というゲームが好きで。最近は、お仕事じゃない時は、Nintendo Switchの『モンスターハンターライズ』で忙しくしています(笑)。

結構やり込むタイプなので、チャレンジ要素とかミッションは全部クリアしないと気が済まなくて、コツコツやって楽しんでいます」

――では最後に、輝き続ける秘訣を教えてください。

「私は、本当に心の健康だと思っています。毎日お仕事だけに追われたりしていると、だんだん気持ちが沈んでしまうような気がするので、息抜きが必要だと思います。そういう時に大事にしているのは、友達との時間かな。謎解きとか脱出ゲームも好きなので、友達と一緒に行ったりすると、充実してるなぁってポジティブな気持ちを感じられます」

 

■PROFILE■

西野七瀬

1994年5月25日生まれ、大阪府出身。アイドルグループ・乃木坂46の元メンバー。2018年いっぱいで乃木坂46を卒業し、現在は女優として活動。主な出演作はドラマ『あなたの番です』『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』『言霊荘』『恋なんて、本気でやってどうするの?』、映画『鳩の撃退法』『恋は光』など。

 

■INFOMATION■

「連続ドラマW シャイロックの子供たち」

東京第一銀行 長原支店は、中小零細企業が主な取引先の小さな店舗。出世街道を外れた課長代理・西木雅博(井ノ原快彦)をはじめ、家族を支える真面目な女性行員、エリートで策略家の支店長、業績のためにはパワハラも辞さない副支店長、常に成績トップの業務課のエースなど、個性豊かで一癖ある行員たちが皆それぞれの事情や葛藤を抱えながら働いていた。ある日、長原支店で 100万円の現金紛失事件が発生する。女性行員が犯人として疑われるが、紛失事件を追っていたはずの西木が突然、失踪してしまう。現金紛失事件と西木の失踪。2つの謎と長原支店の行員たちの物語が交錯していく。やがて現金紛失事件の裏に隠された「不正」が明らかに。西木が姿を消した驚きの真相とはーー。

放送:WOWOW プライム・WOWOW 4K

配信:WOWOW オンデマンド(無料トライアル実施中)

10月9日放送・配信スタート 毎週日曜 午後10時〜[全5話/episode0含む]

※episode0無料放送

 

Photos Hirohisa Nakano / Styling Takashi Yamamoto@style3 / Hair&Make-upGeorge / Words Hiroko Goto / Edit Kaori Watabe

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