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2021.11.25

性欲がわかない原因・対策のまとめ。セックスレスを解決しよう!

「最近なんだか性欲がわかなくなった」「セルフプレジャーでは気持ちよくなれるのに、いざ相手と行為をするときは気持ちがのらない」というように、セクシャルな悩みを抱えている人は意外と多いのでは? 今回は、産科婦人科学会専門医であり女性性機能障害を専門にしている村田 佳菜子先生が、性欲がわかない原因と対策をそれぞれ解説。これを機に性欲低下の原因と対策を知って、幸せなセクシャルライフを送ろう。

教えてくれたのは… 村田 佳菜子先生

日本産科婦人科学会専門医。東京、横浜で女性性機能専門に診療をしている。ブログ「SEX therapist 佳菜子の部屋」では、女性のせいに寄り添うあれこれを発信している。所属学会は日本産婦人科学会、日本女性医学学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本性科学会、日本性機能学会、日本GID(性同一性障害)学会。(公式サイト

【目的】

性欲がわかない理由と対策。どれに当てはまる?

①心理的な原因

性欲低下には、精神的や心理的な要因が関係していることが多い。女性の性欲はパートナーとの関係性と関わりが深いため、相手への信頼度や親密度が下がると、女性の性欲は下がる傾向にある。「親密度によって性欲が左右されるため、例えばパートナーが浮気をしたり、家で自分勝手な行動ばかりしていたり、または長年一緒にいて新鮮さを感じなくなったりすることで、性欲低下に繋がってしまうことが挙げられます」と村田先生。パートナーとの間に心の溝ができてしまうことが、性欲低下の直接的な原因に。

■対策①:パートナーとの関係性を見直す

性欲低下の原因が心因性のものなら、幸せホルモンのオキシトシンを上げることがおすすめ。愛情ホルモンとも呼ばれていて母子間の親密度を上げるホルモンであり、人間関係でも共感したり親密度がアップしたりするときに分泌されるホルモンであると判明している。

オキシトシンはパートナーとの肌のふれあいや、見つめ合いで上がると言われています。手や背中をオイルマッサージすることや、5分間だけ見つめ合うアイコンタクトトレーニングがおすすめです。相手を思いやったり、相手に共感したりすることでもオキシトシンは上がります。お互いに、相手のために何かをしあったり、一緒に散歩をしたり映画を観たりと、何かを一緒に行うと良いです」

■対策②:紙に書き出す

「パートナーとの関係性に何らかの不満やモヤモヤがあって、相手にうまく伝えられないときや相手にぶつけてしまいそうなときは、紙に書き出す方法をやってみてください。相手に自分の素直な気持ちを伝えるときに、逆ギレされたり口げんかになったりしてしまう場合は、カップルカウンセリングの受診が最適です」

<紙に書く方法>
①不満をすべて紙に書き出す
②不満に思っていたことと事実を認める
「そうだよね」「つらかったね」「頑張ってるよね」と自分に共感してあげる。
③不満に対して相手にどうして欲しいのか書く(欲望むき出しでOK!)
④相手の良いところを書き出す
この時点で自分の中では相手はかなり悪者になっており、怒り心頭に発している。気持ちを落ち着けるために、相手の良いところをできるだけ多く書き出す。
⑤④を伝えて相手を褒める
相手がリラックスしているタイミングを選ぶのがポイント。「ありがとう」と伝える。
⑥①の辛かった・悲しかった内容を伝える。
相手を悪者にしないように伝えるのがコツ。「そうゆうつもりじゃなかったのかもしれないけれど…」「みんな気付かないと思うんだけれど…」「考えがあってそうしてくれたのかもしれないけれど…」など前置きがポイント。(※)
⑦理解を示してくれたら③を伝える
命令形や指示ではなく「こうしてくれたらうれしいな」というニュアンスで伝えるのが良い。
※:⑥の段階で逆ギレされるなど、話し合いにならない場合はカウンセリングへ!

ストレス・うつ病などのメンタル疾患

女性ホルモンのエストロゲンの影響により、男性よりも女性はストレスを感じやすい。家事や育児、仕事が忙しいことで疲労や過度なストレスを抱えると、それが性欲がわかない理由になることも。エストロゲンが大きく動くときにストレスを感じやすいため、生理前や産後、更年期に性欲がわかない女性も多い。「産後うつでは性欲低下だけではなく、赤ちゃんをかわいく思えなかったり恐怖や不安を感じてしまったりします。そしてうつ病の人の半数は、性欲が低下します」

■対策:親密度を上げる、受診する

性欲低下の理由がストレスであるなら、まずはストレスの根源をなくすこと。気分がのらないときはキスやハグなどの軽いスキンシップを取り、メンタルが安定したときにセックスをすると良い。「ただしオーガズムを迎えるときに幸せホルモンのオキシトシンが分泌されるため、適度なストレスを感じているときは、逆にセックスをする方が効果的な場合もあります」と村田先生。

産後うつの場合はパートナーとの親密度だけではなく、母子間の親密度も下がっている状態。「不思議なもので、父と子どもの親密度が上がると、母と子の間でも母とパートナー(父)の間でも、親密度が上がる関係性があります。なので産後うつの場合は、パートナーが家事を手伝ったり、子育てに協力して子どもとの触れ合いを増やしたりすることで、自身とパートナー、子どもの親密性を上げることが可能です。

この場合はどれだけパートナーがあなたに共感して行動できるかどうか、がキーとなります」。ただしうつ病かもしれないと思ったら、まずは病院を受診するようにしよう。

セックス中の問題

挿入時に違和感があって気持ちよくなれなかったり、痛みを感じたりすることが性欲がわかない原因になることもある。「性反応は性欲がわいて性的接触により十分に興奮したあとに、やっとオーガズムを迎え、精神的・身体的に充足感を得られます。痛みや違和感、パートナーへの不満などで興奮できないと、質の高いセックスができずに満足することは難しく、更に性欲がわかないという悪循環に陥ってしまうことがあります」と村田先生が言うように、セックス中の問題が性欲低下に繋がってくる。

■対策:紙に書き出す、カップルカウンセリングを受診

「性交痛はパートナーとの関係性に原因がある場合もあります。痛みを感じていることを伝えられないと、痛みを我慢し続けることになり、それがセックスをしたくないと思う原因になってしまいます。親密性を上げて痛いことを伝えたり、いろんな体勢にトライして痛みを感じにくいように工夫したりしましょう。ジェルを使うのもいいでしょう。セックス中に何らかの不満がある場合は、紙に書き出す方法を試すのも良いです。膣の奥が痛い場合は内膜症の場合もあるので、婦人科を受診する必要があります」

膣内射精障害

マスターベーションでは射精できるのに、腟内では射精できない膣内射精障害の場合も、女性の性欲低下に繋がることがある。「射精に時間がかかってしまういわゆる遅漏の人は、挿入後に射精まで1時間もかかってしまうこともあります。これがさらに重度になり、膣内に射精ができない場合のことを膣内射精障害と言われています。時間がかかってしまうことで性行為自体の時間も過度に長くなり、女性が疲れてしまいセックスをしたくない原因になってしまうことがあります」と村田先生。女性の態度によっては男性がプレッシャーを感じてしまい、なおさら射精することが難しくなってしまうという負の連鎖に陥ることも。

■対策①:フィニッシュトレーニングを試す

膣内射精障害の原因は、刺激の強いマスターベーションによるものが多い。膣内に挿入するときのようなやさしい刺激でもオーガズムを感じられるように、フィニッシュトレーニングをするのがおすすめ。

 

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■対策②:プレッシャーを取り除く

「射精をしなくてはならない」というプレッシャーを男性から取り除くために、女性側の心構えも大事になってくる。「今日のセックスは射精をしなくてもOK」「スローセックスで行為自体を楽しもう」など、射精にこだわらず2人が心地よいルールを設けてセックスをするのがベター。

挿入をゆっくりと行うスローセックスは、女性の感度を高める場合も。この機にお互いが気持ちよくなれるセックスを探してみると、2人の親密度アップにもつながりそう。

妊娠中の変化

妊娠中の性欲低下は心理的な理由が大きい。胎児を傷つけるのではないか?流産してしまわないか?などの不安があるほか、つわりで体調が悪くなることやおりものが増えること、お腹が大きくなり乳首が黒くなるなどのボディイメージの低下が原因に。

■対策:腹部を圧迫しない体位を選ぶ

「妊娠中のセックス自体は問題ないので、安心してください。体勢や行為自体に辛さを感じるときは、腹部を圧迫しない楽な体位を選ぶのがおすすめです。出血している場合は挿入はやめて、キスやハグ、愛撫だけにしておくなど別の方法をとるようにしてください。助産師さんはアドバイスを下さると思うので、相談してみるのもおすすめです」

産後のホルモンや心の変化

産後は女性ホルモンが低下するため、膣が濡れにくくなったり性欲が低下したりする。母乳育児をストップして2〜3ヶ月経つと、女性ホルモンが上がるため性欲も戻る傾向にあるけれど、授乳中はエストロゲンが低いため性欲も低下しがち。さらに赤ちゃんを抱っこすることで、オキシトシンが上がり幸せを感じやすくなるため、セックスをしたいという気持ちが薄れることがある。

■対策:相手にも育児に参加してもらう

「父親と子供の親密度がアップすることで、母親の幸せホルモンのオキシトシンも上がることが分かっています。そのため産後に性欲低下した場合は、相手にも育児に参加してもらうことで改善する可能性が高いと言えます。そして子育て中に感じる相手への不満や要望は、そのときに伝えるようにしましょう。子育て期間に抱く不満は、育児が終わったあとも心のどこかに引っかかって残ってしまうことがあり、それが将来的なセックスレスや性欲低下に繋がる可能性があるためです」

薬の服用

精神科や心療内科を受診したときに処方されることが多い抗うつ薬は、女性の性欲を低下させる原因のひとつ。また低用量ピルも、性欲を低下させることがある。

■対策:かかりつけの医師に相談

かかりつけの医師に薬の変更や休薬ができないか相談してみよう。

ホルモン異常

男性ホルモンや女性ホルモンが少ないと性欲低下を引き起こすけれど、実際にこれらが低値を示す人は少ない。臨床上問題になるのは、プロラクチンというホルモンの上昇。性欲が低下すると同時に、月経がない、月経不順、母乳が出るなどの症状がある場合は、プロラクチンが異常に高い、高プロラクチン血症であることが考えられる。

■対策:病院にいく

「脳腫瘍が原因であることがあり、また長期にプロラクチンが高い状態が続くと不妊の原因になることもあります。上記の症状がある場合は、必ず病院に行きましょう。また、あらゆる原因の性欲低下に対して、男性ホルモンの注射がとても効果的です。数回の注射では副作用が少なく、安価で即効性があります。専門の医療機関に相談してみて下さい」

 

Edit&Words GLITTER編集部

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