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元男役から職業・美弥るりかとして生きること【ModernSlashers #02】

『Modern Slashers #02  美弥るりか』 

About Slashers? 

Slasher (スラッシャー)とは、複数の肩書を「/(スラッシュ)」で区切ることから、一つのジャンルにとらわれないこと、また、She/He といったジェンダーや年齢の垣根が無いことも示します。 GLITTERではそんなスラッシャーな生き方を体現しているロールモデルたちをスラッシャーズと呼びます 。

メンズのセットアップをさらりと着こなし、自然体でカメラの前に立った美弥るりかさん。宝塚歌劇団月組の男役スターとして絶大な人気を博し、2019年に退団後はライブ活動や舞台出演、ジェンダーフリーなファッショニスタとしても注目を集め、スタイルブックを発行するなど様々なフィールドで活躍。性別や肩書きにとらわれず、まさに/(スラッシュ)な生き方を体現している。

『GLITTEER』vol.2に掲載のインタビュー、そしてWEB限定ビジュアルを公開。

 

 

美弥るりか

2003年に89期生として宝塚歌劇団に入団し、独自の中性的な魅力で男役スターとして活躍。19年に退団し、舞台のほかファッションやビューティー面でも注目を集める。2022年1月15日〜ミュージカル『ヴェラキッカ』出演。オフィシャルサイト

 

 

誰でも自分の中に多様性を持っている

 

ジャケット¥297,000、タートル¥42,900、パンツ 参考商品、シューズ¥189,200(参考価格)〈すべてOFF WHITE c/o VIRGIL ABLOH ™ イーストランド〉 右耳上から イヤカフ¥82,500、ピアス¥55,000、 左耳上から イヤカフ¥77,000、イヤカフ¥93,500、ピアス¥90,200、右手リング¥256,300、左手リング¥114,400〈すべてRIEFE JEWELLERY リーフェ ジュエリー〉※SHOPリストは本誌GLITTER vol.2に掲載

 

―宝塚を退団された男役の方は、女優として舞台で活躍する方が多いなか、退団後の「職業・美弥るりかとして生きていきます」という言葉が印象的でした。なぜ“ひとつのことに決めない”という生き方を選択されたのでしょうか?

「まず宝塚を卒業すると決めた時、その先の道をほとんど決めていませんでした。男役の多くの方は、卒業したら自然に女優として活動されていきますが、自分と“女優”がどうしてもしっくりこなくて。自然に髪を伸ばして、ネイルを塗ってスカートを履いて、女性の役を演じていくということに、あまり関心がありませんでした。在団中は男役なので、普段からメンズの服を着ることは当たり前でしたが、私は卒業してからもメンズのファッションのほうが好き。お買い物に行っても、メンズとレディースを半分ずつ見ています。今はファッションやメイク、ヘアスタイルでも、自分がしたいことをしていい時代ですよね。だから私は性別を限定する“女優”という言葉は使わず、“アーティスト”として自分を称することにしています。そこには『芝居する人』や『歌う人』というような肩書きもいらないのではと思っています。

 

そして私はこれまで19年の宝塚人生において、すべて舞台のために生きてきたので、いただいた役をどう自分なりに表現するか?ということしか考えていませんでした。卒業して、いざ自分の道を歩んでいくとなった時、自分の中から何かを表現するためには、まず“本名の自分”と“芸名の自分”を近づけることが必要でした。これまでは“芸名の自分”だけがずっと走り続けてきてしまっていて、“本名の自分”のことは好きな食べ物ですら興味がなく、何一つ知らなかった。でも私の人生には“本名の自分”という土台がちゃんとあるので、そこを充実させてこそ『美弥るりか』としてより輝けるんだろうなと思いました。そんな矢先にコロナ禍になり、いろんなことが突然失われたこともあって、やっと自分自身に矢印が向いたというか…。もっと自分のことを知って、愛してあげないといけない。芸事を磨くだけではなく、自分の人間力を積み上げていくことで、可能性を広げていきたい。今はそうやって自分自身に向き合っている時間ですね。チャレンジし続けて、自分の充電が完了した時、より豊かな表現ができる人になっていたいです」

 

―男役を演じるというのは、どんな気持ちだったのでしょうか?

「この世に女性として生まれてきた人であっても、その心がすべて女性らしい部分だけで構築されているわけではないと思うんです。どんな性別の方でも、自分の中に多様性を持っていて、そのバランスって人それぞれ違うんだろうなって。私も同じで、男役を演じている時は自分の男性らしい部分が押し寄せてきます。今年の夏に出演した舞台『GREAT PRITENDER』で退団後初めて男役を演じたのですが、もうお稽古2日目くらいで男役時代の自分に戻ってしまって(笑)。普段から大股で歩いたり、自然と動作が大きくなったり、女性キャストの方をついエスコートしてしまったりなど…。男役を演じている時は、なんだかさっぱりした気分になれて気持ちいいですね。男役は特別なものと思われるかもしれませんが、その魂は誰もが持っているものだと思います」

 

―ここ最近、世間的にもジェンダーへの関心が高まり、ジェンダーレスな方々が注目されるようになってきました。美弥さんは在団時から、中性的な雰囲気で唯一無二の男役像を体現されていましたが、今のこういった世の中の風潮をどのように感じていますか?

「こういう時代だからこそ、私のような卒業生が存在できるのかもしれません。たぶん私の退団があと3年早かったら、今のように生きるにはもっと大きな壁があったと思うんです。私が退団した2019年ごろは、世間的にもジェンダーへの関心がだんだん高まってきた時期。これからは自分の心を自由にして、生きていこうと決めたのも、前例がなくても自分がやればいいんだと思えたのも、時代が後押ししてくれたからです。多様性が認められ、いろいろな広がりの中で自分らしさを大切にし、年齢を重ねた時の自分が、より自由な存在になっていたらいいなと思っています。

 

〜WEB限定ビジュアルを公開〜

 

 

インタビューMOVIEはYouTube『GLITTER Channel』でご覧いただけます

 

 

Photos MARCO /Styling Aika Kiyohara /Hair&Make-up Kouta@GLASSLOFT /Edit&Words Sonoko Sugihara

 

美弥るりかさんインタビュー

美弥るりか×花乃まりあ×剣幸interview 宝塚出身の3人がMusical『The Parlor』で描く“世代を超えた繋がり”

 

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